半世紀ぶりアレコ復刻・県美で公演初日
青森市の県立美術館で1日、半世紀ぶりに復刻されたバレエ「アレコ」の公演が初日を迎えた。主人公アレコを同市出身の世界的バレエダンサー大川航矢さん(32)が演じ、シャガール作の舞台背景画に囲まれた県美ならではの空間に、愛と狂気の物語がよみがえった。 「アレコ」はロシアの詩人プーシキンの叙事詩を基にした悲劇的な恋物語で、米国のバレエ団が1968年に公演したのを最後に途絶えていた“幻の演目”。シャガールが描いた舞台背景画は現在、同美術館のアレコホールに4幕全てが展示(第3幕は米フィラデルフィア美術館から借用)されており、この機会と空間を最大限に生かそうと、同美術館が3年がかりで復刻公演を準備してきた。 第4幕の前に設けた舞台の上で、大川さんは、ロマ民族の自由奔放な生き方にひかれる青年貴族をダイナミックなジャンプなどで表現。恋人・ゼンフィラ役の勅使河原綾乃さんらと息の合った踊りで約200人の観客を魅了した。オーディションで選ばれた県内の小学生も出演し、ロマの子供たちを表情豊かに演じた。 大川さんは「初演時の背景画が4枚そろう特別な空間で、歴史的な舞台に立ち会えて感激している。(負の感情を抱える)アレコは踊るたび違った感情を抱かせてくれる深い役柄。背景画から受ける思いも表現に生きたと思う」と語った。 最前列で鑑賞した青森市の新谷万理沙さん(長島小6年)は「出演者みんなの感情表現が豊かで、すばらしい舞台だった」と感想を話していた。 公演は4日まで。チケットは完売している。