『スカイキャッスル』小雪が“ラスボス”として君臨 九条の目的は一体何なのか?
この街で2人目の死人が出てしまった『スカイキャッスル』(テレビ朝日系)第8話。水面に一滴垂らされた墨樹がどこまでも広がっていくように、止められないドミノ倒しのように浅見一家の転落ぶりが凄まじい。 【写真】ラストシーンで警察に連れて行かれてしまった青葉(坂元愛登) 息を引き取った山田未久(田牧そら)が自分の子どもだったこと、そして自らが出世のために我が子のオペを後回しにしたことを知った浅見英世(田辺誠一)。この英世もまた弱い人間で、紗英(松下奈緒)が2人の親子関係を知っていたが隠していたことを知ると、彼女の気持ちなど全くお構いなしで、開口一番「君がなんでも隠そうとするから傷が余計に大きくなる」と言い出す。さすがに責任転嫁もいいところだ。 確かにその側面もあるだろうが、全て自らの身から出た錆、かつ妻だけがその真実を知ってしまったことに対する申し訳なさや面目のなさ、自分に対する不甲斐なさなどは先立たないのだろうか。“未久が自分の娘だと知っていたら……”というもう叶いもしない“タラレバ”を繰り広げるも、あれだけ脳内“出世”一色だった英世が、もし我が子だと知っていても本当に彼女のオペを優先できたのか甚だ疑問だ。未久の母親との思い出もまるで覚えていなかった英世に、咄嗟にそんな判断ができるとは到底思えない。 また、紗英も紗英で娘の瑠璃(新井美羽)の受験を優先するあまり、未久に辛く当たってきたのにもかかわらず、「昔の自分と重ね合わせて幸せになってほしいと願っていたのに」と泣き出すのは都合がいいように映る。ただ紗英の気の毒なところは悪者にもなりきれないところで、未久のオペを後回しにしようとする英世に苛立ちながらも、その理由はあの場では言えなかった。何か守りたいものがあると仕方ない部分もあるだろうが、登場人物がそれぞれに肝心なところでダブルスタンダードすぎて相当にブレブレで、そりゃあ受験コーディネーター・九条彩香(小雪)にとっては良いターゲットだろうなと妙に納得してしまう。 九条が家庭崩壊に導く手口は毎回同じで子どもたちをマインドコントロールし、自分の言葉だけを信じ込ませるように仕向ける。冴島哲人(橋本じゅん)は妻・香織(戸田菜穂)を殺したのは九条ではないかと訴えるが、子どもを親と決別させ、親に絶望を与え地獄に突き落とす九条は一体何がしたいのだろうか。親も親で「そのままのあなたでいい」と子どもに言えたら……もう難関校の合格など手放して九条との関わりを断てればいいのだが、そうしたいと思った頃には時すでに遅し、手遅れだ。完全に子どもは九条に心を支配されてしまっている。 さて、九条の罪を世に問うために小説で訴えることを宣戦布告した南沢泉(木村文乃)だったが、なんと青葉(坂元愛登)が未久を突き落とした犯行現場を見たという目撃者が現れる。 元々、利己的でマウント合戦ばかりしていたスカイキャッスルの住人が泉を中心にまとまり始めた変化を感じてか、元々、九条は泉を嵌める予定だったようだ。 次回最終話では、紗英が無実の青葉のために瑠璃が不利になることも覚悟で、知っていることを正直に証言できるのか。それともやはり瑠璃を守るために南沢一家のことは切り捨てるのか。ここで、浅見家が九条と決別できるかどうかの明暗が分かれるのだろう。
佳香(かこ)