「鮮やかな手口」構成すぐ浮かぶ 「地面師たち」原作者の新庄耕さん 効率重視に危機感も
■自身も詐欺被害経験
新庄さんの思いの背景には、自身も詐欺被害に遭った苦い経験がある。
今年、ネットショッピングのため海外サイトを見ていたところ、スマートフォンの警告音が鳴り響いた。その後偶然、口座を持つ銀行をかたるショートメッセージを受信したことから、疑うことなくパスワードを入力してしまったという。
後日、届いた明細で60万円以上を勝手に振り込まれたことが発覚する。「分かってはいても、パニックになると冷静な判断ができないことを痛感した」と振り返る。
小説やドラマ「地面師たち」のヒットについて、警察当局では「犯罪抑止効果も高かった」と評価の声も上がっている。新庄さんは「今後はいろいろなジャンルの犯罪を扱い、普段小説を読まない層の方にも楽しめるような臨場感あふれる作品を作っていく」と話した。(外崎晃彦)
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新庄耕
しんじょう・こう 昭和58年、東京都生まれ。平成24年、第36回すばる文学賞を受賞した「狭小邸宅」でデビュー。令和6年、小説「地面師たち」がNetflixでドラマ化され、話題となる。続編「地面師たち ファイナル・ベッツ」と、前日譚を描く「地面師たち アノニマス」を刊行。そのほかに「ニューカルマ」「カトク 過重労働撲滅特別対策班」など。