保育所も公園も足りない 悩める東京中央区の“立体都市公園”という試み
緑地確保も保育所開設も……両立難しい
銀座は休日でも多くの買い物客で溢れます。そうしたことから、週末に区外から集まる買い物客のニーズに応えるべく、水谷橋公園の保育所には休日にも利用できる一時預かり所も併設する予定にしています。 立体都市公園制度を活用して保育所を開設するのは、中央区が日本初だと言われています。その背景には、都内でも指折りの一等地・銀座を擁する中央区ならではの苦しい事情があります。 「銀座はオフィスビルや商業施設が林立しており、公園や緑地のような“憩いの場”となるようなスペースが多くありません。これまで中央区は、民間商業施設と協力して公開空地を多数設置して緑のある空間を確保してきました。だいぶ緑は増えてきましたが、それでも銀座一帯の緑は多くありません。待機児童解消のために保育所を設置することも行政にとって重要な政策なのですが、その一方で公園などの緑を確保することも行政には重要な課題です。両立は難しく、悩ましいですね」(同)。 国家戦略特区や立体公園都市制度、どちらも限られた土地を有効活用しようとする制度です。行政はあれこれ知恵を絞っていますが、それでも待機児童や公園の確保といった問題は尽きることがありません。 小川裕夫=フリーランスライター