米裁判所、受精卵は「子ども」 不妊治療、法的責任も
【ワシントン共同】米南部アラバマ州最高裁が、不妊治療クリニックで凍結保存された受精卵(胚)を「子ども」として扱う判断を示した。機器の故障で胚が失われたり、治療終了後に余剰分を廃棄したりしても法的責任を問われる可能性がある。州内の一部クリニックは新規受け入れを停止し、バイデン大統領は22日、生殖医療へのアクセスを損なうとして州最高裁の判断を非難した。 南部州では人工妊娠中絶に反対するキリスト教保守派が多い。今回の判断には「生命は受精の段階から始まる」との保守派の主張が影響しており、関連学会にも衝撃が広がっている。 訴訟は不妊治療クリニックを利用したカップル3組が起こした。2020年、体外受精でつくった胚が凍結保管中に破壊されたのは管理体制の不備が原因だとして、未成年の死亡を扱う州法に基づきクリニックに損害賠償を求めた。 下級審は「受精卵は子どもに該当しない」と判断したが、今月16日に最高裁が覆した。共和党系のパーカー判事は「人間は受精の瞬間から神の像としてつくられている」などと訴えた。