ウクライナ軍、欧州製の貴重な高性能戦車をクルスク州に投入 東部ブフレダルは失陥
残り数少ないStrv122とレオパルト2A6を全量クルスク州に投入か
ウクライナ軍のドローン部隊「コーン・グループ」が週末にソーシャルメディアで共有した動画は、そうした混沌とした前線の様子を伝えている。 ある動画では、ベショロエ村南西に広がる平原で、Strv122かレオパルト2A6(Strv122はレオパルト2A5戦車をベースにしているのでレオパルト2A6と似ているが、目立つところでは主砲の長さなどが違う)が、自爆ドローンを被弾したのか、損傷したT-72戦車を牽引している。すると、Strv122かレオパルト2A6の上部もしくは下部で爆発が起こる。地雷を踏んだのかもしれないし、ドローンを被弾したのかもしれない。 定員どおりなら4人いるはずの乗員にとって不幸中の幸いだったのは、Strv122とレオパルト2A6は世界でも指折りの防護力の高い戦車であることだ。両戦車は鋼鉄やその他の素材の分厚い装甲を備え、主にそれが原因で重量は63tほどもある。動画の戦車が何を食らったのにせよ、少しばかり不便になったという程度の損傷だったようだ。 映像ではStrv122かレオパルト2A6は煙もしくは消火剤を吹き出しながらT-72を牽引し続け、どうやら国境のウクライナ側の安全な場所に向かっている。 ウクライナ軍にとってStrv122とレオパルト2A6は貴重な装備である。ウクライナが2023年にスウェーデンから受領したStrv122はわずか10両、ドイツとポルトガルから受領したレオパルト2A6も合計で21両にとどまる。今春時点で、残っていた計15~20両程度とみられるStrv122とレオパルト2A6はすべて第21機械化旅団に配備されていた。 ウクライナ陸軍でほかにレオパルト2戦車を運用している部隊には、第33独立機械化旅団と第155独立機械化旅団がある。両旅団に配備されているのは旧型で数の多いレオパルト2A4であり、戦場での損失を新たな供与分で数回補っている。 それに対して、より新しいレオパルト2A6やStrv122を運用する第21機械化旅団がこれらの戦車を新たに取得できる見込みは薄い。スウェーデン陸軍もドイツ陸軍も戦車旅団の戦力を維持するのに苦慮していて、高性能な戦車をこれ以上手放す意向は示していないからだ。