三上博史さんの愛車遍歴に迫る!!! 『私をスキーに連れてって』の思い出と意外な趣味とは
すぐにコントローラーが壊れちゃうんですよ(笑)
三上博史さんとクルマの関係で、どうしても聞きたいことがあった。それは1987年に公開された映画『私をスキーに連れてって』のオープニング。三上さんがトヨタ『カローラⅡ』でスキーに出発する場面は、いま思い出してもわくわくする名シーンだった。あのシーンは、どんな心境で演じたのだろう。 「あれは、完全に馬場(康夫・ホイチョイ・プロダクションズ代表取締役社長)さんの趣味ですよね。馬場さんが細かいところまで設定を決めて、原田貴和子さんと高橋ひとみさんは(トヨタ)『セリカ』、僕がカローラⅡ。オープニングでタイトルが出ていざ出発、というシーンで僕がカローラⅡのオーディオにカセットテープをセットします。でも撮影では音が出ないので、馬場さんから、実際に流れる曲はユーミンの『サーフ天国、スキー天国』だという説明がありました。なぜこの曲ですか、と聞いたら、スーツ姿の馬場さんがアタッシュケースからノートと10色ぐらいのボールペンを取り出して、日本の全人口の何%がスキー人口で、そのうち何%がサザン、何%がユーミンを聞くので、わたしたちはマーケティングからこの曲を選びました、みたいなことをおっしゃって。だから『はい、わかりました』と、答えるほかなかった(笑)」 インタビューの合間、合間で、三上さんは「せっかくクルマの取材なのに、クルマに詳しくなくてすみません」と、何度も述べた。 「マニアックで凝り性の人だと見られがちですが、全然違うんですよ。制作会社のプロデューサーと企画を立てた『小さな村の物語 イタリア』という番組のナレーションを15年ぐらいやっていますが、だからといってイタリア車じゃないとダメということもないんです。ゲームぐらいかな、打ち込んでいるのは。やっと『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ キングダム』が終わりました。“えいっ、やっ”と、力を入れるんで、すぐにコントローラーが壊れちゃうんですよ(笑)」 そんなことはありません。飄々とした口調で語られる飾り気のない言葉の数々に、クルマに詳しいとか詳しくないといった些細なことはどうでもよくなりました。 取材を通じて、印象に残るようなおもしろいクルマが向こうから集まってくる、引力のようなものを三上博史さんから感じたのである。