足まわりの徹底した作り込み

モデルラインナップは、ハイブリッドのパワートレインは1種類。駆動方式は、前輪駆動と、後輪を電気モーターで駆動するE-Fourという4WDが選べる。 乗ると、おとなっぽい印象だ。発進時も加速時も、トルク感がしっかりあって、パワー不足の印象は皆無。操舵感はレクサス的に重めだが、車体の反応がいいので、直進時でもカーブを曲がるときでも、開発者の思惑どおり気持ちよく動いてくれる。さきの遠藤チーフエンジニアは“手の内感”という言葉で表現していた。 フロントサスペンションのジオメトリーを見直して、レクサス独自の操縦性を追求。ほんと、レクサス（とトヨタ）の足まわりの作りこみはおみごと！ という出来映えだ。たいへん気持ちよくクルマが走り、路面の凹凸はうまくいなしてくれるにも感心。 ややマニアックなといころでは、構造用接着剤や高減衰接着剤の効果的な使用と短いピッチ打点などにより、ボディ剛性を高めるとともに、振動や騒音を抑えている。これで上質感が高まっている。 発進時や加速時にモーターのアシストを強化したというだけあって、約1.3tの車重から想像するよりはるかに軽快感が強い。ステアリングコラムの剛性も高められたというだけあって、たしかに“ちっちゃなハッチバック”と、不用意に呼べない印象だ。 乗っての楽しさは、あえてSUV的なドライビングポジションを見直して着座位置を少し下げたり、ハンドルの取りまわしのよさだったり、ペダル類の位置の見直しなどをおこなったり……という部分も、奏功している。ブレーキフィールの見直しなどドライバーが気づきにくい部分まで手が入れられているそうだ。 気持ちよさは、静粛性の向上をはかっての人間工学的な洗練性によるところも大きいようだ。ドライバーズシートが私のからだを支えてくれるかんじはとてもよくて、ぐらぐら動くことはない。 ホイールベースはそう長くないので、室内はギリギリのところで空間が作られている。とはいえ、175cmの男が4人座っていられるのに感心。 ダッシュボードは合皮張りであるものの、立体的な造型、見た目の質感も含めて、いい雰囲気が作られている。日本で売られるモデルは、みな本革シートだそう。一部の国向けに用意されるビーガンインテリア（ノンレザー仕様）は日本市場にも導入されるといいなぁ、と、思う。 グレードは2つ。おもしろいネーミングで「Cool」（460万円～）と「Relax」（460万円～）。特別な内外装の「Bespoke Build（ビスポークビルド）」（550万円～）は、100台限定で発売されたものの、すぐに売り切れたそうだ。第二弾、第三弾もあるとか。これなどまさに“レクサスならではのコンパクトカー”と言える仕上がりだと開発陣は胸を張る。