落札額は2億円超え! “世界初のスーパーカー”がオークションに登場 70年前に誕生したレーシングカー由来の「メルセデス」とは
レーシングカーから生まれた現代のスーパーカーのルーツ
2024年11月にミュンヘンで行われたRMサザビーズのオークションに、1955年型のメルセデス・ベンツ 300SL「ガルウイング」が出品されました。どんなクルマなのでしょうか。 【画像】石原裕次郎も愛したクルマ!? メルセデス・ベンツ「300SLガルウイング」を写真で見る(30枚)
第二次世界大戦後、メルセデス・ベンツはF1グランプリ シーンへの復帰を目指していました。 しかし、アルフレッド・ノイバウアー監督率いるシルバーアロー(メルセデス・ベンツのレーシングカーの愛称)がF1グランプリのグリッドに立つことができたのは1954年のことでした。 それゆえ、シルバーアローが再びモータースポーツに足を踏み入れたのは、まずスポーツカーレースを通じてとなりました。 そのためのマシンが、ルドルフ・ウーレンハウトが設計したW194でした。 薄い溶接鋼管で構成された新シャシを採用したこの軽量マシンは、デビュー戦となった1952年のミッレミリアで2位と4位を獲得しました。 その後、ル・マン、ニュルブルクリンク、カレラ・パナメリカーナで驚異的な1-2フィニッシュを果たし、ベルンでは表彰台を独占しました。 数多くの勝利を上げる中、メルセデス・ベンツのニューヨーク正規輸入代理店であるマックス・ホフマンは、北米自動車市場のギャップに目をつけました。 彼はW194に匹敵するロードゴーイングモデルを製造するようメーカーに働きかけ、こうして300SLガルウイングが誕生しました。 2996ccの直列6気筒SOHCエンジンにボッシュ製の機械式燃料噴射装置を搭載し、4速MTを介して215psを後輪に伝えました。 最高速度は263km/hで、この300SLガルウイングは現代における最初のスーパーカーと考えられています。 300SLガルウイングの生産は、1954年8月から1957年まで行われました。 ファクトリービルドシートのコピーによれば、今回出品された個体は1955年3月8日に完成しました。 エクステリアは300SLの特徴であるシルバーグレー メタリックで仕上げられ、キャビンには特注のレッド レザーが採用されました。 このシャシナンバー「5500127」のクルマには、ベッカー製のラジオやラッジ製のノックオフ ホイールなどのオプションが追加されました。 完成した4日後に、マックス・ホフマンが所有するニューヨークにあるメルセデス・ベンツのディストリビューターに出荷されました。 この個体はマサチューセッツ州にあり、シャーボーンのピーター・ターチョン・ジュニア氏が所有していました。 その後、1992年にオーマン コレクションに加わりました。バベンハウゼンを拠点とする委託者は、このガルウイングを母国ドイツに戻し、同年9月に登録しました。 ファクトリーカラーの組み合わせで提供されるこのガルウイングは、マッチングナンバー(エンジンが載せ換えられたりしていない)のシャシ、ボディ、エンジン、ギアボックス、キングピン、リアアクスル、ステアリングボックスはオリジナルのままです。 また、非常に人気の高いラッジ製のホイール(1955年ナンバー入り)も装着されています。 生粋のレーサーからロードカーに転身した300SLガルウイングは、魅力的なバックストーリーを誇ります。 このオリジナリティあふれる一台は、次のオーナーがヒストリックカーのツアーやラリーに参加することで、その歴史に華を添えることでしょう。 この1955年型のメルセデス・ベンツ 300SL「ガルウイング」は、141万1250ユーロ(1ユーロ=162円として、約2億2862万円!)で落札されました。
VAGUE編集部