磨け商魂「高校生株式会社」 大阪府立高4校がタッグし防災グッズ開発、経営から学び
高校で株式会社を設立し、生徒が経営に参加し、ビジネスを学ぶ「高校内株式会社」が全国で広がるなか、大阪府立の4高校が合同で設立した株式会社が今年度から本格始動、防災をテーマとした商品開発を進めている。商業高校単独での取り組みは多い「高校内株式会社」だが、工業系や美術系の高校を巻き込んだ複数校での設立は全国初といい、関係者は「リアルの経営から学ぶことは多い」と期待を寄せる。 【リスト】高校が設立した主な株式会社 「防災用備蓄パンはいかがですか、5年間保存できますよ」 8月下旬、大阪府八尾市の商業施設で、府立住吉商業高校の生徒たちが即売会を開いた。来店者へ購入を呼びかける生徒たちは「AKINDO SPARKLE(アキンド・スパークル)株式会社」の〝社員〟だ。 住吉商業、淀商業、工芸、東淀工業の府立高4校で今年2月に設立した高校内株式会社で、4校の生徒約50人が中心となり、生徒代表社長や社員として防災をテーマに商品開発に取り組む。 住吉商の生徒代表社長で3年生の羽川香哉(かや)さん(18)は起業に興味があり「高校生のうちに経験を積めるのは貴重。無駄にしたくない」と目を輝かせる。 会社設立にあたり、各校がイベントへの物品販売などで得た収入や企業協賛金を充て資本金50万円を用意。行政書士に定款作成を学び、生徒主体で法人登記も行い、「より責任感が増した。他校の仲間にも刺激をもらっている」と喜ぶ。 同商の瀧本寛人教諭によると、住吉商が営業部隊として協賛企業との交渉や、地域の自治会やイベントなどへ商品の売り込みを担当。美術系コースがある工芸は企業ロゴを考案するというように作業を分担、専門学科各校の持つ強みを生かした活動を行っている。 同社が第1弾の商品として手掛けた備蓄用パンは地元企業と連携し、生徒がパッケージの開発や広報宣伝などを担当。防災意識を子供に楽しく持ってもらおうと、パッケージデザイン案を募るコンテストも計画中だ。 また、一昨年から高校で義務化された金融教育の一環として、同社の財務諸表などを各校の授業で教材にするほか、将来的には在校生が株式を取得して株主となれる仕組みを作ったり、科目を横断して会社経営を学びに活用したりしていく予定だという。瀧本教諭は「机上の空論ではないリアルな学びだからこそ、生徒たちの成長を感じている」と話す。