立民・野田代表が「議員外交」を活発化 「政権交代」にリアル感、各国も熱視線
立憲民主党の野田佳彦代表が積極的な議員外交を進めている。昨秋の代表就任後、米国などの駐日大使らと相次いで面会してきた。自らも首相を務めた民主党政権では外交・安全保障政策での混乱もあり政権を失った。立民は次期衆院選で政権交代を実現する絵図を描く。外交に注力するのは、党にまとわりつく〝民主党カラー〟を薄め、政権担当能力を示す布石とみられる。 野田氏は9日、沖縄県の玉城デニー知事と党本部で面会し、米軍基地問題や在沖縄米兵の性的暴行事件の再発防止策などを議論した。米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設をめぐっては党内に反対論があるが、野田氏は慎重に言葉を選んでいる。辺野古移設を巡り混乱した民主党政権の反省がうかがえる。 こうした野田氏に積極的にアプローチするのが、同盟国である米国だ。 「代表選が終わったら、野田氏にお会いすることはできないか」 エマニュエル駐日米大使は昨年9月、東京都内で開かれたパーティーで一緒になった立民の源馬謙太郎国際局長に野田氏との会談を打診。源馬氏がエマニュエル氏からの提案を伝えると、野田氏は快諾し、9月30日に都内で会談が行われた。関係者によると、10月の衆院選後にも通訳のみを同席させて会談し、親交を深めたという。 野田氏は米国だけでなく、韓国やウクライナなどの駐日大使とも会談し、11月27日には中国共産党の対外交流部門、中央対外連絡部(中連部)の趙世通・部長助理とも面会した。会談は相手側からの打診でセットされたものが大半で、立民関係者は「泉健太前代表のときと量も質も違う」と話す。 各国が野田氏に熱視線を送るのは、昨年の衆院選で自民、公明両党が過半数割れに陥った結果、「政権交代」という言葉がこれまでよりもリアルに響いているからだ。「将来の宰相」である野田氏の外交・安保観を確認しておきたいとの思惑が透ける。 「政権を担おうという覚悟があるならば外交・安保に無関心であることはできない。いろんな経験を積んでいきたい」と語る野田氏だが、日米同盟の重要性を訴える一方で、日米同盟を支える安保関連法には「違憲部分」があり、その部分については「廃止する」との主張は曲げていない。こうした矛盾は将来、禍根を残す恐れがある。(深津響)