無痛分娩の出産リスクやメリット・デメリットはご存じですか? 産婦人科医解説
「無痛分娩」についての情報は、インターネットやさまざまなメディアにあふれています。痛みが緩和されるというのは分かっていても、中にはネガティブな情報を見てしまってなかなか選択できないという方もいるかもしれません。 そこで、実際に無痛分娩を行っている産婦人科医の金子英介先生(金子レディースクリニック院長)にMedical DOC編集部が話を聞きました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
無痛分娩とは? 陣痛・出産・自然分娩が痛い理由と無痛分娩が可能な理由を産婦人科医が説明
編集部: 「無痛分娩」について教えてください。 金子先生: 無痛分娩とは、麻酔を使って痛みを和らげながら行う分娩のことです。出産の痛みは、「鼻からスイカを出すような激痛」などとも言われることもあります。それほどまでの苦痛や恐怖を和らげるために、無痛分娩はあります。 編集部: そんな激痛をどのようにして無痛に出来るのですか? 金子先生: まず、無痛分娩は「無痛」という言葉はついてはいますが、実際には「全く痛くない」というわけではありません。痛みを「大幅に軽減する」ものだと思ってください。 仕組みとしては、痛みを脳に伝える「感覚神経」に麻酔をかけることによって、「痛い」と感じにくくすることができるのです。 脳から体に司令を伝える「運動神経」には影響が少ないため、分娩中に力むことも出来ますし、脳そのものに麻酔がかかるわけではないので、出産の喜びなどはきちんと感じることができます。 編集部: なぜ、完全に無痛にできないのですか? 金子先生: ひとつは、痛みを完全になくしてしまうと運動神経も麻痺してしまい、力むことができなくなるからです。もうひとつの理由は、一回に大量の麻酔を注射するのではなく、出産の状況に応じて「複数回」「少しずつ」麻酔を入れるからです。 これは、より安全に出産するための措置です。複数回に分けることにより、長い出産時間になっても麻酔が切れるリスクをなくすことができ、また少しずつ投与することにより妊婦さんに異常があってもすぐに対応することができるのです。 編集部: 複数回投与するということは、陣痛中や分娩中に何回も注射するのですか? 金子先生: いいえ、そうではありません。出産前に、背中にカテーテル(管)を入れておきます。ここから出産の進行にあわせ、必要な時に必要な量の麻酔を注入していきます。