「メンテック」って何ですか? TENGAヘルスケアに聞く、男性特有のコンプレックスや悩みの解消
揶揄されずに話せる社会は、お互いのウェルネスにつながる
――表に出にくかった課題というと、例えばどんなことでしょう? 本井さん 例えば、日本では「表立って話せないコンプレックス」や「揶揄の対象」とされてきた「AGA(男性ホルモン型脱毛症)」をはじめ「ED(勃起不全・勃起障害)」や「早漏・遅漏」、「男性不妊」などが挙げられると思います。それらを現代の技術や価値観でとらえ直し、真正面から向き合うサービスやアイテムが登場することで、男性も自分の体に向き合いやすくなってきている印象はすごくありますね。 ――確かに、外見や性にまつわることは揶揄の対象になりがちですね。 本井さん プロダクトやサービスが増えて浸透し、男性が自分の体を知ったり、男性特有のデリケートな話題を揶揄されることなく話せたりする社会になれば、一人一人の意識も変わっていくし、性別を問わず誰もが生きやすくなっていくと思います。パートナーとの良好な関係構築も含めて、お互いのウェルネスにつながっていく可能性は、個人的にもとても期待しているところです。 ――不妊の約50%は男性側にも原因があるといわれますし、妊活そのものがストレスになってしまうケースも多いと聞きます。 本井さん 当社でも、お客様から「精子の状態を知るのが怖い」「セックスにプレッシャーを感じるが、うまくパートナーに伝えられない」など、さまざまなお悩みの声をいただきます。その背景には、男らしさを競い合う文化の中で、人に弱みを見せることへの恐れがあったり、男性の射精というものが「精子を出すだけ」のように単純化されてきたりしたことも影響しているのではないかと思います。 例えば、勃起から射精にいたるプロセスって、あまり知られていませんよね。そもそもリラックスした副交感神経優位の状態でなければ勃起しないし、射精時は交感神経が優位でないと射精できないという繊細なシステムなんです。けれど、そういうことが理解されないまま「どうして勃たないの」「どうしてセックスできないの」と責められてしまうのは、すごくつらいのではないかなと。 ――男性の勃起は、興奮によって交感神経が優位になっているイメージでしたが、まさか真逆だったとは…。そうした体や心の仕組みが理解されないままでいるのは、お互いにとってつらいですね。 本井さん そうなんです。揶揄されることでコンプレックスになり、「つらいけれどパートナーに言い出せない…」という悪循環もあるのではないかと思います。実は、当社の「Seed in」も、社員が妊活中のセックスにプレッシャーを感じていたことが開発のきっかけでした。