「元自民党議員」の弁護士が“怪しいグループ”と一緒に「900人」をカモっていた…!「あんなの誰だって騙される」と被害女性が語った「卑劣な手口」
怪しいグループだと知っていた?
「そしたら今野先生が逮捕されたとニュースで知って……。詐欺で騙された人を、弁護士がまた騙していたと聞いて背筋が凍りました。 詐欺の被害に遭った人間はパニック状態に陥っていて、正常な判断なんてとてもじゃないけどできません。誰でもいいから助けてほしいし、手を差し伸べられたら疑いもなく取ってしまう。そんな状況で怪しい弁護士を見分けるのは無理です。ちょっと防ぎようがないですよ」(木之内さん) 今野容疑者が非弁提携をしていた10人のバックには、特殊詐欺グループがいたのではないかと捜査関係者は見ている。同容疑者がグループの実態を認識していたか否かは、現在明らかになっていない。 ただ、同容疑者の地元・深谷市の複数の住民は、「今野さんは昔から頭が良かった。それなのに怪しいグループを見抜けないなんてことあるんですかね」と納得のいかない様子だった。 この点について、ネット詐欺に詳しい大地総合法律事務所の佐久間大地弁護士は「騙されていた可能性も否定できない」と前置きした上で、次のように語った。 「おそらく警察は今野容疑者がグループの実態を知っていたという方向で捜査をしているはずです。もしそうであれば弁護士が起こした事件としては前代未聞。詐欺罪で起訴されたら法定刑では10年以下の懲役です。初犯であれば執行猶予がつく可能性もありますが、弁護士としての活動は絶望的でしょう」 近ごろ、被害金の回収が難しいロマンス詐欺やネット詐欺などの案件で、高額な着手金を得ようする弁護士が増えている。実際、各弁護士会も注意喚起を行っており、あまりに悪質な弁護士は公表されている。 ただ、せっかく弁護士になった人間が、なぜこのようなハイリスクなビジネスに手を染めてしまうのか。
母親宅を訪れると…
「彼らによく見られるパターンは2つ。ひとつが金銭的な事情です。弁護士業がうまくいっていないのはもちろん、女性に入れ込んでしまったり、株や不動産の投資に失敗したりする弁護士もいないわけではありません。生きるために悪質な方法に手を出してしまう。 そしてもうひとつが過度なビジネス思考です。ほとんど何もせずに高額な着手金を手にできるロマンス詐欺などの案件は、効率が良いと考えているのでしょう。悪評が立つのは承知の上で手っ取り早く大金を稼ぎたいという弁護士も残念ながら存在します」(佐久間弁護士) では今野容疑者の場合はどういった事情だったのか。真相を探るべく、深谷市内にある母親宅を訪ねた。 インターホン越しに女性が応じたが、記者が今野容疑者の名前を出した途端に「自分は留守を預かっているだけで何もわからない」と繰り返し、話を聞くことはできなかった。 弁護士法1条1項には「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」とある。 今野容疑者は、一体どこに正義を忘れてきてしまったのか。 ―――――― 【さらに読む】『“ニセ森永卓郎”に「1億円」騙されたタワマン住み57歳男性…詐欺グループから取り返した「驚きの金額」』では、最近流行している「なりすまし詐欺」のリアルな実態をお届けします。
週刊現代(講談社)