結束バンド×石原慎也、04 Limited Sazabys、大木伸夫、佐藤千亜妃……キャラと楽曲提供者によるシナジー
「惑う星」Vo.:山田リョウ(作詞・作曲:大木伸夫(ACIDMAN) 編曲:三井律郎)
続く収録曲はベース・山田リョウ(CV:水野朔)の制作曲をイメージした「惑う星」。本作を手掛けたACIDMAN・大木伸夫の“宇宙フリーク”っぷりを知るファンの中には、その曲名についニヤリとした人もいるのでは。 「音楽偏差値は高く、でも、サビは疾走感があるメロディアスな曲」というオーダーの通り、細部にわたって熟練味漂う作り込みを感じさせる本作。そこには四半世紀を超える年月、バンドを率いてきた、大木の豊富な経験に裏打ちされた確かなサウンドメイク力が垣間見える。直近のACIDMANのヒット作「輝けるもの」にも通じる、重量と疾走感を兼ね備えた壮大さも楽曲の大きな魅力のひとつだろう。 ミステリアスかつ音楽へのストイックさを揺るがぬ魅力とする作中キャラ・リョウ。突出した個性を絶対的な武器とし、今度こそ“バンド”として生きたいと願う彼女。その矜持や結束バンドへの切なる思い入れを鮮烈に描いた点でも、本作は今EPの中で一段と強い煌めきを放つ楽曲にもなっている。 ■「UNITE」Vo.:伊地知虹夏(作詞:GEN 作曲:04 Limited Sazabys 編曲:akkin) ドラマー・伊地知虹夏(CV:鈴代紗弓)による楽曲をイメージした「UNITE」は、作曲を04 Limited Sazabysが、作詞をメンバーのGENが担当している。バンドの緩衝材として、メンバーの結束を繋ぐ立ち居振る舞いも印象的な彼女。そこに“UNITE=団結、結合する”という曲題を冠した点にも、本作が初の楽曲提供となるGENのずば抜けた解釈の深さが窺える。 元々04 Limited Sazabysが十八番とするメロディックパンクは、構成要素の肝のひとつにドラムの2ビートがある。その点でもドラマーの象徴曲としての説得力は抜群。加えてGENの歌声も明瞭な響きが強みであり、バンドの曲作りも必然的にその声質に沿う形となるだろう。近しい性質を持つ女性ボーカルへの楽曲提供はまさにハマリ役だ。 なにより、虹夏は誰よりもライブハウスという場で純粋培養されてきたキャラだ。そんな彼女に曲を宛て書くバンドとして、長年現場主義を貫き続ける04 Limited Sazabysの心強さたるや。その要素もまた転がり続ける結束バンドの実体を、楽曲によって色濃く映し出したのだろう。