自治会に入る必要ある? 手間だし人付き合いわずらわしいし…加入しない移住者に脱退する高齢者まで…悩む区長たちに生まれた疑問、そもそも…
長野県の南箕輪村、人口増えても減る加入率
村内の区や組の加入率が減少傾向にある長野県南箕輪村。村が昨年度立ち上げた「持続可能な自治会検討委員会」が、時代のニーズに即した区や組の在り方を検討している。目的は、10年先を見据えた地域コミュニティーをつくること。昨年度は行政が区や組に依頼している業務を見直した。現在、自治会運営の悩み事に対するヒントを載せたガイドライン作りを進めている。その過程で委員からまず自治会の目的自体を議論するべき―との声が出始めている。 【写真】「よそ者の自分を温かく受け入れてくれた」と感謝する最年少の「サラリーマン区長」
「入区の目的を説明できなかった」
「区長として入区の勧誘に行った時に目的を説明できなかった。説明用に『しおり』があるといい」。1日夜、村役場で開いた本年度3回目の検討委員会。11人の委員が2班に分かれて自治会の運営上の課題と解決方法を話し合った。
100年以上続く人口増
同村の1日時点の人口は1万6078人。村誕生の1875(明治8)年以降、人口増が続いている。村によると村内で家を建てようとする子育て世代の移住が続き、出生数は年140人前後を保つ。
減る加入率
人口が増える一方、村内に持ち家がある人の地元区への加入率は減少傾向にある。今年5月1日時点では85・5%と2013年度から3・6ポイント減。村は来年度までに90%にする目標を掲げる。しかし、昨年度転入して組に加入したのは約7割にとどまった。高齢者の中には役を担えず、区や組を抜けてしまう人もいる。
踏み出した自治体改革
村が設立した検討委では、委員11人と、会議映像を見て意見提出する補助委員5人ら計18人で議論を重ねている。調整役として藤城栄文村長と田中俊彦副村長が参加。検討委は区長経験者や自治会の有識者らが中心で、補助委員には若年層もいる。 昨年度はまず、村が自治会に依頼する「行政協力業務」を見直し、村はごみ収集の立ち会いの外部委託などを決めた。一区切りとなる今年度は、役員のなり手不足といった運営上の課題を洗い出し、解決のヒントを記したガイドライン作成に取り組んでいる。来年3月の完成を目指す。