『あのクズを殴ってやりたいんだ』ボクシング監修が「この人は強くなる」と感じた、奈緒さんが実践練習でみせた姿勢
――部での活動はどのようなものでしたか。 最初はただ鏡の前で1時間ずっとポーズを構えて、地面に汗の水溜まりができるくらい地味な練習できつかったですが面白いんです。ドラマにも出てくる縄跳びも実際にやりましたが、最初は10分間跳び続けるのもきつかったです。でも次の日に挑戦すると、前日より跳べるようになっていたり、二重跳びができるようになったりと日々の小さな積み重ねがどんどん大きな自信に変わっていきました。その努力を見ている人は見ているし、ちゃんと形になるんだなと実感した瞬間でした。 ■俳優の特性を生かすことを大事にしている ――普段、ボクシング監修をする中で大事にされていることは何でしょうか? 俳優さんたちを見て、その特性をどう生かすかです。本作では奈緒さんのファイター魂だったり、玉森さんの優しさを生かしたいなと思いました。玉森さんと練習をした時にさまざまな実践をしました。その中でミットを持ってもらったことがあるのですが、パンチを受けるほうが難しいはずなのに、とても包容力があったんです。それはきっと玉森さんの内面的な優しさが出ているんだろうなと思って、それを生かしていきました。 ――本作の監修に当たってはどんな準備をされましたか? プロデューサーから映画『百円の恋』『春に散る』のような、生々しいボクシングシーンを作りたいという依頼があったんです。そういったシーンを撮影するにはある程度の準備期間が大切で、そう簡単に撮れるものではないことを説明しました。その上で奈緒さん、玉森さん、岡崎さんには忙しいスケジュールの合間を縫って、クランクイン前からトレーニングを始めてもらいました。 ■奈緒さんの練習する姿勢に「この人は強くなるぞ」と感じた ――実際にキャスト陣の練習を見て、いかがでしたか? 奈緒さんと実践練習をした際に、光るものを感じました。僕はアクション専門ではなく俳優としても活動しているので、ボクシングシーンの撮影がある時は、必ず実際にスパーリング練習をするんです。ただ、けがをするかもしれないですし、当たると痛いし、怖いと思うので、自らやりたいという方は少ないのですが、奈緒さんからほこ美の気持ちを理解したいからと練習の要望を受けました。大体の方はパンチが目の前に飛んでくると目をつぶってしまうのですが、奈緒さんはまばたきをしていなかったんです。むしろ、僕のパンチが当たってしまった時もこういう感じなのかと楽しんでいて、その姿勢が実際にシーンに生かされていると思います。その練習の姿勢を見て「この人は強くなるぞ」と感じました。