ADB、アジア途上国の成長率予想を下方修正 米政策変更がリスク
[マニラ 11日 ロイター] - アジア開発銀行(ADB)は11日、アジア途上国の2024年と25年の成長率予想を下方修正した。米国のトランプ次期大統領の貿易政策変更により見通しが悪化する可能性があると指摘した。 24年の成長率は4.9%、25年の成長率は4.8%と予測、9月の予測値である5.0%、4.9%から小幅引き下げた。 下方修正は、第3・四半期の複数国の経済状況の低迷と消費の見通しの弱さを反映しているという。 中国の成長率予測は、24年が4.8%、25年が4.5%で据え置いた。インドの成長率予測は、24年が6.5%(前回は7.0%)、25年は7.0%(同7.2%)に引き下げた。 ADBは「米国の貿易、財政、移民政策の変更は、アジアの発展途上国の成長を鈍化させ、インフレ高進につながる可能性がある」と指摘。ほとんどの影響は24─25年の予測期間を超えて顕在化する可能性が高いとしている。 「下振れリスクは依然として残っており、現在想定されているよりも急速な米国の政策転換、地政学的緊張の高まり、中国不動産市場のさらなる低迷」などをリスクとして挙げた。 世界的なコモディティ価格の下落により、24年と25年のインフレ見通しを前回の2.8%と2.9%から、それぞれ2.7%と2.6%に引き下げた。 GDP成長率 2023 2024 2024 2024 2025 2025 2025 7月 9月 12月 7月 9月 12月 コーカサスと中央アジア 5.3 4.5 4.7 4.9 5.1 5.2 5.3 東アジア 4.7 4.6 4.6 4.5 4.2 4.2 4.2 中国 5.2 4.8 4.8 4.8 4.5 4.5 4.5 南アジア 6.9 6.3 6.3 5.9 6.5 6.5 6.3 インド 8.2 7.0 7.0 6.5 7.2 7.2 7.0 東南アジア 4.1 4.6 4.5 4.7 4.7 4.7 4.7 インドネシア 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0 マレーシア 3.7 4.5 4.5 5.0 4.6 4.6 4.6 ミャンマー 0.8 該当なし 0.8 該当なし 該当なし 1.7 該当なし フィリピン 5.5 6.0 6.0 6.0 6.2 6.2 6.2 シンガポール 1.1 2.4 2.6 3.5 2.6 2.6 2.6 タイ 1.9 2.6 2.3 2.6 3.0 2.7 2.7 ベトナム 5.1 6.0 6.0 6.4 6.2 6.2 6.6 太平洋 3.5 3.3 3.4 3.4 4.0 4.1 4.1 発展途上アジア 5.1 5.0 5.0 4.9 4.9 4.9 4.8 インフレ率 コーカサスと中央アジア 10.2 7.6 6.9 6.8 6.8 6.2 6.2 東アジア 0.6 0.8 0.8 0.6 1.6 1.3 1.1 中国 0.2 0.5 0.5 0.3 1.5 1.2 0.9 南アジア 8.4 7.1 7.0 6.9 5.8 6.1 5.4 インド 5.4 4.6 4.7 4.7 4.5 4.5 4.3 東南アジア 4.1 3.2 3.3 3.0 3.0 3.2 3.1 インドネシア 3.7 2.8 2.8 2.4 2.8 2.8 2.8 マレーシア 2.5 2.6 2.4 2.2 2.6 2.7 2.6 ミャンマー 22.0 該当なし 20.7 該当なし 該当なし 15.0 フィリピン 6.0 3.8 3.6 3.3 3.4 3.2 3.2 シンガポール 4.8 3.0 2.6 2.5 2.2 2.2 2.2 タイ 1.2 0.7 0.7 0.5 1.3 1.3 1.2 ベトナム 3.3 4.0 4.0 3.9 4.0 4.0 4.0 太平洋 3.0 4.3 3.6 3.6 4.1 4.1 4.1 発展途上アジア 3.3 2.9 2.8 2.7 3.0 2.9 2.6