【書評】骨の行方を自分で決める:森下香枝著『ルポ 無縁遺骨 誰があなたを引き取るか』
ウェディングプランからエンディングプランまで
考えてみれば、結婚する時には「どんな結婚式にしたいですか?」とウェディングプランナーに聞かれ、出産する時には「どんな出産にしたいですか?」と、助産師とともにバースプランを考える時代、どうやって死を迎え、自分の骨がどこに在り続けるのかまでをも、自分で描くのは当たり前なのかもしれない。 そして、たとえそんなエンディングプランがないまま死を迎えたとしても、取り残される遺骨がないように、行政が時代に合わせてセーフティネットを整備することで、無縁遺骨の数は減っていくだろう。 子どもがいたとしても、骨を拾ってくれるかは分からないのが現実だ。ましてや、そのあと何十年にもわたって、骨の管理までしてもらおうなど、虫が良すぎるのかもしれない。 自分の骨をどこに置くか。 考える時間を取りたくなる。
【Profile】
幸脇 啓子 編集者。東京大学文学部卒業後、文藝春秋で『Sports Graphic Number』などを経て、『文藝春秋』で編集次長を務める。2017年、独立。スポーツや文化、経済の取材を重ね、ノンフィクション作品に魅了される。22年春より、長野県軽井沢町在住