《衆院選2024》授業料、経済に関心 茨城県内の大学生、政策重視
物価高や少子化対策、外交・防衛、地域活性化。衆院選で各党や候補者がさまざまな公約を掲げる中、大学生たちはどんな政策に着目して1票を投じるのか。茨城県内の大学などで学ぶ学生に聞いた。 文部科学省令で「標準額」が定められる国立大の授業料。日本は2012年、国際人権規約にのっとり、高等教育を段階的に無償化するという国際公約を打ち出したが、標準額は05年度に53万5800円となってから変わっていない。同県水戸市、茨城大4年、本間千愛さん(20)は「親に負担をかけていて不安。学ぶために進学したのに、生活費を稼ぐために時間を費やさねばならない」と現状に疑念を抱く。衆院選では大学授業料に対する候補者の考えを見極めて1票を投じるつもりだ。 物価高が続く中、経済対策への関心も高い。同市、同大1年、笹川晃佑さん(20)は「最低賃金が上がっても、中小企業が支払えるのか心配。理想を掲げる候補者もいるが、本当に実現されるか吟味が必要」と懐疑的な見方だ。自身で授業料を支払っているという同県茨城町、常磐短大2年、今田あいるさん(20)は「経済に関心はあるが、自分の考えに似た公約を持つ人がいなければ意味がない」と投票を悩んでいる。 各党の子育て支援策に着目するのは同県つくば市、筑波大4年、柘植小春さん(22)。「働きながら、スムーズに子育てできる社会になってほしい」と語り、候補者の政策を見極めている段階だ。 若者を中心とした人材の東京一極集中が続く一方、地方では若者を中心に人材の流出が続く。IT業界を中心に就職活動中という同県日立市、茨城大3年、鴨志田真子さん(21)は「就職で県外に出ても、Uターンしやすい街になってくれればいい」と語り、若者支援策を重視して投票先を考えるという。 学生など若者世代の投票率は他の世代と比較して伸び悩みが続く。県選管によると、前回2021年衆院選における若年層の投票率は、10代が38.17%、20代前半は30.99%にとどまっている。 常磐大で24日に設置される期日前投票所の立会人を務める水戸市、同大3年、郡司慎斗さん(20)は「自分たちの将来に直接関わる。大きな影響はなくても、投じる責任を放棄せず若者の声として生かしたい」と語った。 若者の政治参加について、同大総合政策学部の砂金祐年教授は「若者は政治に関心がないわけではない。若者が抱える問題意識と、今の政党や政治の方針がかみ合っていないところに問題点がある」と語った。
茨城新聞社