県警前本部長の隠ぺい疑惑など… 参考人招致の3人 語ったこと 鹿児島県
鹿児島放送
こちらに並ぶ3人、いずれも鹿児島県警の幹部です。県議会の総務警察委員会は16日、県警の疑惑や不祥事をめぐって3人の参考人招致を行いました。それぞれの口から語られた内容とは。 ●県警上別府高宏・前首席監察官 「隠ぺいしようとしたのではないかという疑念を生じさせてしまった要因に私の伝達ミスがあることから、大変申し訳なく思っているところでございます」 県民の疑念が払しょくされていないなどとして、インターネットで初めて中継された16日の委員会。 1人目に招致されたのは上別府高宏前首席監察官です。 去年12月に枕崎市内の女子トイレで起きた盗撮事件。 県警や開示された資料によると女性の証言や防犯カメラの映像から犯行に捜査車両が使われた可能性が浮上し、署員の関与が疑われたことから枕崎署長は3日後に警察内部の不祥事を調査する監察課のトップ・首席監察官に情報を伝達しました。 首席監察官から説明を受けた本部長は『証拠が乏しいため、署で捜査を尽くすとともに「教養」を行うよう』指示。 これを首席監察官が当時の枕崎署長に伝えた際誤って伝わってしまい署長は「捜査は中止」と署内に伝え、捜査が2日間中断したといいます。 巡査部長による盗撮は捜査が中断していた間にも続いていました。 前首席監察官によると当時・本部長は2022年に起きたある事案を例に挙げたといいます。 それは奈良県警で職員が拳銃の実弾を盗んだ疑いをかけられ実際は誤認であったにも関わらず自白を強要された問題です。 ●前首席監察官上別府高宏・鹿児島中央署長 「直接的な証拠がない現時点では職員を被疑者として扱うのは適切ではなく、引き続き枕崎署において必要な捜査を続けた上で職員による犯行を裏付けるものが出てきたら本部長指揮事件とする旨の指示を受けました」 なぜ、枕崎署長に誤って伝わってしまったのか。前首席監察官は本部長指揮となった場合の捜査方法も説明したがそれが、枕崎署長に「今後は本部長指揮事件となり署では捜査ができない」と受け取られた可能性があるといいます。 ●前首席監察官上別府高宏・鹿児島中央署長 「職員を被疑者として認定して行う捜査は本部長指揮事件となり、その場合は署長の判断ではできないということも伝えた記憶しております」 前首席監察官は「自分の言葉足らず」だったと釈明。県議会は当時の枕崎署長にも参考人招致しましたが、体調不良を理由に辞退したといいます。 2人目の参考人は前の霧島警察署長だった南茂昭・生活安全部長です。 南生安部長が署長だったときの霧島署では署員による2件のストーカー事案が明らかになっていますが、どちらの事案も懲戒処分には至っていません。 16日質疑されたのは、霧島市のクリーニング店で働いていた20代の女性が50代の男性巡査部長から付きまとわれたと訴えたもの。 女性は署の対応に不信感を抱き苦情を申し立てていますが、県警は県議会や記者会見で「副署長や警務課長が直接謝罪した」と説明を繰り返しています。 ●南茂昭前霧島署長 「警務課長、副署長にですね、指示をして、直接謝罪の言葉を述べさせていただきました。ただし、相手被害者にはですね、それを受け入れて頂けなかったという報告を聞いております」 ●秋丸健一郎県議 「当時から受け入れて頂けなかったという報告があったということですね」 この点については、他の委員からも指摘がーー ●平良行雄県議 「謝罪というのは、やはり相手に伝わるかどうかというのが基本だと思います」 ただ、一連の質疑の中で、南生安部長は県警幹部として初めて、被害者に直接謝罪したいとの考えを表明しました。 ●南茂昭前霧島署長 「機会がいただけるのであれば、お会いして謝罪したいなという風に考えております」 3人目の参考人は川崎清・警務部参事官、前の刑事企画課長です。 問題とされたのは去年10月に県警内部で配信された「刑事企画課だより」です。 不要な資料の廃棄を促すなか「再審や国賠請求等で、保管していた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはない」などと県警の隠ぺい体質を疑わせる表現がありました。 ●川崎清前刑事企画課長 「現在行われております再審請求訴訟、国賠請求訴訟の方々、これに関わっておられる方々、そして県民の皆さまに心からお詫びを申し上げたいと思います」 文書を決裁した立場として謝罪しましたが、文書の趣旨についてはあくまで「廃棄を促すものではなく、適切に文書を保管・管理することを指示したもの」だと説明を繰り返しました。 ●湯浅慎太郎議員 「(この文書で)県警本部や各署の意思が伝わったと」 「そうではないと繰り返し仰いますが、読んで字のごとくこれ以上もこれ以下もないと考えております」 ●川崎清前刑事企画課長 「決裁者というのは内容を吟味し精査し検討した上で、決裁をすべきと考えております。この務めをしっかり果たして参りたいと思います」 県警は16日、今年8月にまとめた再発防止対策の進捗状況を発表しました。ホームページにも掲載されています。 例えば県警全体の最適化の視点に立ち、部門や配属の垣根を越えた人事を来年春のタイミングで実施すべく準備中だといいます。こうした対策が的確に実施されているのか今後も見守っていく必要があります。