蛍光灯からLEDへの交換、不適切な方法だと火災も
独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)は10月22日、照明器具の事故事例を発表した。既設の照明器具のまま蛍光ランプをLEDランプに交換する際に、不適切な取り付けによる事故が多いことから注意喚起を行なっている。 【画像】蛍光灯器具の点灯方式と特徴 【事故事例1】LEDランプが溶解 蛍光灯器具付近から異臭がし、LEDランプの一部が溶融した。 これはグロースターター式の蛍光灯器具にLEDランプを装着する際、グローランプを取り外さなかったため、点灯時に過電流が流れて異常発熱し、LEDランプを焼損したものと推定される。 【事故事例2】蛍光灯器具による火災 製品のスイッチを入れたところ、異臭がしたため確認すると、当該製品及び周辺を焼損する火災が発生した。 これは安定器の巻線がレイヤショートによる異常発熱により、出火したものと考えられる。ラピッドスタート式の蛍光灯器具に、LEDランプを取り付けていたが、LEDランプを使用する際に必要な安定器のバイパス工事が行なわれていなかったことが原因と推定される。 ■ 事故を防ぐために気を付けるポイント 上記のような照明器具の事故を防ぐために、NITEでは蛍光ランプをLEDランプに交換する際の注意点を紹介している。 ●蛍光灯器具の点灯方式に応じたタイプのLEDランプを選ぶ 蛍光灯器具の点灯方式には、グロースターター式/ラピッドスタート式/インバーター式があり、蛍光ランプはそれぞれの点灯方式に対応したものを購入する必要がある。 しかしインバーター式の蛍光灯器具にはどんな蛍光ランプでも使用できるものもあるため、グロースターター式の蛍光ランプが使われていたからといって、グロースターター式のLEDランプに交換すると事故に繋がるおそれがあるという。 そのため既設の蛍光灯器具のまま、蛍光ランプをLEDランプに交換する際は、必ず「蛍光灯器具側の点灯方式」と「LEDランプの点灯方式」が合っていることを確認するよう呼びかけている。 ●蛍光灯器具を有資格者に確認してもらう 以前は、「グロースターター式の蛍光灯器具にはグローランプを取り外して使う」「ラピッドスタート式やインバーター式の蛍光灯器具には電気工事を行なう」ことが一般的だったが、現在はこれらの対策が不要なLEDランプ内部にそれぞれ必要な制御回路を持つものが販売されている。 そのためグローランプを取り外すのか、工事が必要なのかどうかは購入するLEDランプのラベルや説明書に書かれている注意事項をよく読んでおくほか、販売店や工事業者に確認するなどの対応が必要という。 また蛍光灯器具にLEDランプを取り付ける際の仕様や手順が様々なことから、一般社団法人日本照明工業会(JLMA)では蛍光灯用照明器具をLED化するにあたり、蛍光灯器具からLED照明器具への交換を推奨している。
家電 Watch,津田 昌宏