世界の野生動物の個体数が、1970年から2020年までの過去50年間で75％近く減少していると、世界自然保護基金（WWF）が公開した最新の報告書でわかった。WWFは報告書で「壊滅的な減少」がみられると指摘した。ロンドン動物学協会の研究者らがデータをまとめた。 報告書の指数・評価を担当したロンドン動物学協会のロビン・フリーマン氏はこう話す。 「数字を見れば、人々は警戒するだろう。むしろ危機感を覚えるべきだ」 人間の食料システムなどによって、生息地の縮小や環境悪化が引き起こされ、野生動物の個体数が脅かされている。また、乱獲や外来種の侵入、病気のまん延なども追い打ちをかけている。 最も急激な減少がみられたのは、ラテンアメリカ、カリブ海地域、アフリカ、アジア太平洋地域だった。 「気候変動や生息地の縮小、生物多様性の損失という問題が重なりあっている。複合的な課題に対応していく必要がある」 報告書は、状況は絶望的だとしつつも、まだ巻き返す余地はあるとしている。気候・自然危機に対応するには、今後5年間で大規模かつ共同での取り組みが必要だと指摘。 「生物多様性の統計『生きている地球指数』は、警告として捉えるべきだと思う。システムを回復させるために、何かできることがあるはずだ。個人の行動だけでなく、政府が主体となって集団で取り組むよう促すこともその1つだ」