暖かくてタケノコ豊作も…“放置竹林”全国で相次ぐ 災害拡大の一因にも
日テレNEWS
例年にまして暖かい日が続く中、春野菜の代表格のタケノコが豊作となっています。一方で、その竹を管理しきれず、放置された竹林による問題が全国で相次いでいます。 ◇ 19日午前8時過ぎ、千葉県・大多喜町にあるオープン前の道の駅「たけゆらの里おおたき」では、地元の農家が、朝とれた春野菜の代表格であるタケノコを販売しようと次々と持ち込んでいました。しかし、そのタケノコに今年は異変が起きているといいます。 タケノコ農家 「大多喜町は全体的に豊作の傾向にあります」 今年、大多喜町では、例年よりもタケノコが豊作に。去年末から続く異例の暖かさで早く成長し、量も多いといいます。 タケノコを購入した客 「10本ちょっと(購入)」 うれしい春の味覚の豊作。しかし今、竹を管理しきれず、放置されてしまう“放置竹林”の問題が、全国で相次いでいるというのです。 東京の町田市では、民家のすぐそこまで迫る竹林もあります。北部の丘陵地域では、東京ドーム約20個分の竹林が広がっていて、そのほとんどが放置された状態だといいます。 家の裏が竹林の60代の住人 「古い竹は死んでくる。結局折れちゃう」 家の裏が竹林という住人は、雨が降った時に竹が家の方に倒れてきたといいます。整備された場所は、竹が短く切られていますが、少し進むと、町田市が所有する竹林があります。 町田市 農業振興課 牛腸 哲史 担当課長 「ここは典型的な放置竹林。侵食力が強いのでどんどん広がっていく」 整備するための人員を確保できず、竹は放置されたまま、急スピードで成長。20メートルほどの高さになるまで約2か月といわれています。 町田市 農業振興課 牛腸 哲史 担当課長 「雨が強い時にバタっと倒れるけど、倒れたままになっていますよね」 竹は浅く広く根をはる特徴があり、増えると根っこが複雑に絡み合い、土の中に空洞ができるため、強い雨が降ると土砂崩れを引き起こす懸念があるというのです。そこで市は、市民団体とタッグを組んで、竹に成長してしまう前に、タケノコをメンマに加工する取り組みを開始しました。 町田市 農業振興課 牛腸 哲史 担当課長 「これがまさに食べ頃ですよね。山をいい状態に、次の世代につなげていかないといけない」 ◇ 埼玉県の東松山市では、河川敷の竹林が災害拡大の一因となってしまったこともありました。川のすぐ脇に竹や樹木などが密集した場所があります。 国土交通省関東地方整備局 荒川上流河川事務所 髙橋靖 副所長 「(竹林などが)洪水の流下の阻害になる部分もあるので、樹木伐採等を実施していくことが必要な箇所です」 4年前、東日本を中心に襲った台風19号。埼玉県では都幾川の堤防が決壊。この時、密集した竹林などが川の流れをせき止めたことで、水位があがり決壊する一因になったとみられているのです。 そのため、国土交通省の河川事務所は、民間の土地である河川敷を取得し、生えた不要な竹林の一部などを2025年度をめどに伐採する予定です。 ◇ さらにこんな問題も。さいたま市にある不動産会社は… 松澤地所21 営業 酒井宏樹さん 「どんどん無限に生えてくるような状態」 不動産会社が竹林の土地を買い取り、月に一回程度、竹を伐採していますが、根っこが残っているため、取っても取っても、タケノコが生えてくるというのです。 松澤地所21 営業 酒井宏樹さん 「竹の問題がなければもっと早く売却できるんですけど」 根っこから駆除するには費用がかかるため、今後売却できるかわかっていないということです。