『赤い悪魔』が増殖!生態系を壊すアメリカザリガニ駆除現場にカメラが密着 捕獲したザリガニは“特製フレーク”にして魚の餌に!?
絶滅危惧種の繁殖に不可欠な二枚貝を狙うアメリカザリガニ
絶滅危惧種の魚「ニッポンバラタナゴ」。産卵では、メスが産卵管を二枚貝の隙間に差し込み、続けてオスが精子をかけます。貝がなければ繁殖できないのです。ところが… (宮部和樹さん)「(貝が)死んじゃって殻が開いてしまって。(殻の)周りがギザギザになっている」 アメリカザリガニによって無残に食いつくされた貝。確実に生態系は崩れ始めていました。そこで宮部さんたちは貝を守るため、細かい目の網で囲い、さらにその中にカゴを入れるという二重の対策で保全。生育状況を確認しています。カゴの中の貝を見ると… (宮部和樹さん)「見た感じザリガニに削られたような感じはないです」 カゴにはザリガニはいません。ところが、網の中にザリガニがいました。明らかに自分の体よりも細かい網目をすり抜け入ってきていました。 (宮部和樹さん)「あぁ入ってるんだなと思いました…」 (北川忠生教授)「なかなか対策が難しいですね…」 おそるべしアメリカザリガニ。池には、卵からふ化した赤ちゃんを抱えているものもいました。
駆除がゴールではない 捕獲したアメリカザリガニを魚の餌に!?
ただ、宮部さんは駆除がゴールだとは思っていません。 (宮部和樹さん)「これ(アメリカザリガニ)を悪者にしてしまうのは良くないことかなと思います。これも命なので、そこで捕獲して殺して終わりではなくて、捕獲して殺したあと、利用できるような段階につなげていけたらなと思っています」 そして7月、宮部さんたちは、ペットフードメーカー「キョーリンフード工業」を訪れました。駆除したザリガニを魚の餌にする取り組みを始めたのです。 (キョーリンフード工業 開発担当)「こんなにザリガニを触ることない。あんまりにおいはしないですね。いい意味で。くさくない」 まず、ザリガニをミキサーにかけます。次に、ザリガニペーストにつなぎを加え、薄く焼いていくと… (北川忠生教授)「おいしそうなにおいがしてきた。えびせんみたいな」 特製“ザリガニフレーク”が完成しました。さっそく、水槽内の魚に与えてみます。 (北川忠生教授)「食べた食べた」 (川畑涼さん)「食べますね。よかった」 “赤い悪魔”が、次の命につながった瞬間でした。 (川畑涼さん)「しっかり食べてくれたので本当によかったなと思います」 (宮部和樹さん)「今まで処分していたザリガニが、ほかの生き物の餌になって有効活用できるのはすごくいいことだなと思います。本当に大きな一歩だと感じています」 迷惑な外来生物とはいえ、同じ命。共存への模索が続けられています。 (2024年8月22日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『憤マン!』より)