16歳で1回手取り2000円の格安風俗に入店…4つの性感染症にかかり、医者から「風俗の仕事をやめて普通の仕事に就きなさい」と言われてもやめられない理由
発達障害アンダーグラウンド#12
発達障害を持つ女性たちが性風俗産業で不当に搾取されている現状がある。そこには彼女たちが抱える「感覚鈍麻」と呼ばれる発達障害の症状の1つが悪用されるケースがあるという。今回、本シリーズの取材募集に応募があった方の実体験からその実状をお届けする。 【画像】行く当てもなく風俗店の更衣室で寝泊まり(写真はイメージ)
ボールペンを膣に入れられ…
兵庫県で生まれた向原詩(仮名)の母親は知的障害を持つシングルマザーで生活保護を受けていた。だが、アルコール依存症だったこともあって、ネットで知り合った男性と会っては“お小遣い”をもらうことで、酒代をまかない、暮らしていた。母親の異性関係は相当乱れていたという。 彼女には5人の子どもがいたものの、すべて父親が違い、結婚歴は1度しかなかった。詩は4番目の子で、一番上の長女とは6歳違いだった。 ほぼ毎日、母親は男と出かけていたため、長女が家事やきょうだいの面倒を見ていたそうだ。詩にとって母親はとても恐ろしい存在だったと、当時を振り返る。 「ママは、私が髪の毛を1本でも落としたら怒って叩いてきた。『汚い!』『片付けろ!』って顔を叩かれた。だから、ママが家にいるときはすごい怖かった。寝ていても毛が落ちてないかって気になって寝られなかった」 のちに、詩には発達障害があることが判明するが、きょうだいにも似たような傾向があり、家では会話らしい会話はほとんどなかったという。小学5年生のとき、母親がアルコール依存から吐血して入院することになった。これを機に、きょうだい5人は児童養護施設に入ることになる。詩は一番下の弟と同じ施設だったが、他の3人は別々の施設へ行った。 詩が性犯罪の被害にあったのは入所後すぐのことだった。施設にいた中学生の少女から毎日のように裸にされ、膣にボールペンを入れられるなどされたのだ。また、その少女が同じ中学の不良の男子に「この子はやれるよ」と言ったことで、男子生徒がたびたび下校中の詩を待ち伏せし、体を触るなどした、と詩は話す。 「女の先輩(同じ施設の中学生の少女)は嫌い。いじめるから。でも、男の人(から付きまとわれるの)は別に嫌いじゃなかった。学校の子たちみたいに私のこと『汚い』って言わないから。だから、ちょっと怖かったけど、嫌いじゃなかった」 同級生からの過酷ないじめより、性的興味を露骨に示してくる中学生のほうが「(自身が好意的に)受け入れられている」という感覚があったのかもしれない。 施設の職員に医者のもとへ連れて行かれ、彼女が発達障害と軽度の知的障害と診断されたのは、そのころだったという。