地域共生コンビニ〝買い物弱者〟支える JA子会社が大手とFC契約
過疎化が進む地域で住民の買い物機会を確保しようと、JA秋田しんせいの子会社、ジェイエイ秋田しんせいサービスは22日、由利本荘市鳥海町笹子(じねご)地区に、生鮮食品も扱う「地域共生コンビニ」を開業した。コンビニ大手のローソンとフランチャイズ(FC)契約を結び店舗を運営する。ローソンによると、地域共生コンビニは全国8例目で、JA系統の企業が運営するのは全国初となる。 「品ぞろえが充実している」。笹子地区の菅野茂子さん(83)は、混み合う店内でこう思いを話した。 菅野さんは車の免許を持たない。コンビニがある笹子地区は、市内中心市街部から片道約45キロ離れた山間部で、この店の次に近い生鮮品などを扱う店は、片道約20キロ離れている。いわゆる「買い物弱者」の菅野さんにとって、このコンビニが事実上の最後のとりでとなる。「家から行けるのはここだけ」(菅野さん)と切実だ。 店名は「ローソン由利本荘鳥海町店」で、スーパーの「Aコープ鳥海店」を改装し、開業した。運営するジェイエイ秋田しんせいサービスは、スーパーに比べ少人数で営業できることを利点とみる。過疎地域での店舗運営を知るローソンと連携し、コンビニとしての出店を決めた。 通常のコンビニで扱う食品や日用品以外にも、肉や魚、野菜などの生鮮品やJAの独自商品がそろうのが特徴。営業時間は午前6時~午後10時で、店舗面積は217平方メートル。笹子地区を熟知するジェイエイ秋田しんせいサービスの職員2人が、店舗運営の研修を受け、初日に臨んだ。 同社店舗課の村山富美子課長は「この出店を機に、過疎化が進むさまざまな地域で同様のコンビニが増えればうれしい」と話す。
日本農業新聞