宮崎市の「宿泊税」は1人1泊200円が妥当…検討委が報告書、年間で4億円の税収増見込む
宮崎市が導入を目指す「宿泊税」のあり方を議論する検討委員会(会長=丹生晃隆・宮崎大地域資源創成学部教授)が14日開かれ、1人1泊200円の定額での課税を妥当とする報告書をまとめた。12月に清山知憲市長へ提出され、市は導入に向け条例案策定作業に入る見通し。宿泊税が導入されれば、宮崎県内の自治体では初。年間約4億円の税収増が見込まれるという。(金堀雄樹) 【写真】宮崎市役所
宿泊税は、ホテルや旅館などの宿泊客に課税する法定外目的税で、自治体が条例を設けて独自に徴収する。東京都や福岡市、長崎市などで導入されている。
宮崎市は、人口減などに伴う税収減が課題となるなか、誘客促進などにつなげる安定的で持続可能な財源確保に向け、今年5月、検討委を設置。有識者や観光関係団体代表者ら委員5人が議論を進めてきた。
報告書では、積極的な観光施策の展開に向け、安定的な財源確保が必要と指摘。宿泊税の課税額については、徴収の事務負担軽減などを考慮し、「定率」ではなく、シンプルな「定額」が望ましいとし、先に導入されている県外の自治体も参考に200円が妥当とした。一方、導入後に検証して必要があれば見直すべきだとした。
市によると、宿泊税200円が導入された際に生じる新たな税収は、市内の2022年宿泊者数(198万人)をベースで考えると約4億円となる。報告書では、宿泊税の使途について〈1〉来訪者受け入れ環境の整備・充実〈2〉観光資源の磨き上げ〈3〉国内外へのプロモーション――とした。
会合後、丹生会長は「宮崎市で観光産業は極めて重要。貴重な観光資源、スポーツツーリズムなど、宮崎らしさを生かすため、宿泊税が生きてくれば」と述べた。委員の冨森信作・市ホテル旅館生活衛生同業組合組合長(青島グランドホテル社長)は「税負担に対する嫌悪感を持つ方もいるので情報提供を濃くする必要がある」としつつ、「宮崎には観光資源のポテンシャルがある。他の観光都市と比べてできていなかった、情報発信の量・質向上などにつながる」と語った。