『コナン』『ちいかわ』作者、世界的名作『百年の孤独』の文庫化チームが受賞…第6回「野間出版文化賞」
11月5日、第6回野間出版文化賞(主催:財団法人野間文化財団)の受賞者が決定し、新潮文庫 ガルシア゠マルケス『百年の孤独』プロジェクトチーム、イラストレーターで漫画家のナガノ氏、特別賞に漫画家の青山剛昌氏が選ばれました。 【イラスト】『ちいかわ』作者ナガノ氏のプロフィール画像
新潮文庫 ガルシア゠マルケス『百年の孤独』プロジェクトチーム
授賞理由 今年6月26日に発売されたガブリエル・ガルシア=マルケスの代表作『百年の孤独』文庫版は、約4ヵ月で36万部という大ヒットを記録した。46言語に翻訳され、5000万部のベストセラーとなった20世紀文学屈指の傑作は、1972年に新潮社より邦訳単行本が刊行。それから50年以上の時が経ち、「文庫化したら世界が滅びる」との都市伝説まで世間の話題となるなか、驚異的な売り上げにより今年の出版界の話題をさらい、社会現象にもなった。著者の没後10年というタイミングでの文庫化は、世界的名作の風化を防ぐのみならず、若い世代の読者獲得にもつながり、多くの人々が海外文学に触れる機会を作った。さまざまな販売促進キャンペーンが実施され、書店および書籍マーケット、ひいては出版界を強く活気づけている。 受賞者略歴 『百年の孤独』の文庫化に際して結成されたチーム。新潮文庫は1914(大正3)年、ドイツのレクラム文庫やイギリスのカッセル文庫にならって創刊され、第1期の初回配本はトルストイ『人生論』(相馬御風訳)、ギヨオテ『若きヱルテルの悲み』(秦豐吉訳)、マルコ・ポーロ『マルコポーロ旅行記 上』(生方敏郎訳)、ダスタエーフスキイ『白痴 一』(米川正夫訳)、イブセン『イブセン書簡集』(中村吉藏訳)、ツルゲーネフ『はつ戀』(生田春月訳)の六冊。今年創刊百十年を迎えた。
ナガノ氏
授賞理由 代表作『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』の単行本累計発行部数は2024年11月時点で360万部を突破している(電子含む・講談社刊)。もともとはナガノ氏個人のTwitter(現X)で発表された同作は、インターネット上に熱狂的なファンコミュニティを形成する社会現象を巻き起こし、グッズ、コラボカフェ、企業タイアップに引っ張りだこの、「令和の顔」といえるキャラクターを生み出した。 今年10周年を迎えるナガノ氏の活動は、従来の漫画づくりや届け方にとらわれない、新しい時代の表現活動として、出版界にも多大なる影響と刺激を与えている。 受賞者略歴 イラストレーター、漫画家。2014年にLINEクリエイターズスタンプで「自分ツッコミくま」(現ナガノのくま)を発表。Twitter(現X)上にて発表した同キャラクターが登場する食レポ、日常を描いたエッセイイラストが人気を博する。2018年、「Dモーニング」(講談社)にて『MOGUMOGU食べ歩きくま』連載開始。その後、2020年Twitter(現X)にて連載を開始した『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』は、2024年11月時点で単行本累計発行部数360万部 (電子含む・講談社刊)を突破したほか、2022年にはTVアニメが放送開始となった。2024年には同作で第53回日本漫画家協会賞大賞 萬画部門を受賞。