「超速ラグビー」を掲げるエディー・ジャパン 第1次政権時からの変化と不変
ラグビー日本代表が10日、宮崎市内で合宿を公開した。エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC、64)が再登板して初の代表合宿となり、第1次政権と異なる練習方針、コンセプトに掲げる「超速ラグビー」の落とし込みに加え、変わらぬ熱いミーティングと、“変化”と“らしさ”が詰まったスタートとなった。2027年W杯に向けた第2次エディー・ジャパンは、22日に初陣の「リポビタンD チャレンジカップ」イングランド戦(国立)を迎える。 * * * 9年ぶりに戻って来たジョーンズHCは、充実した表情で桜の戦士たちに指示を出した。6日から始動した合宿はこの日、34人が練習。「現状はいい形で進んでいる。満足することなく、今後も進めていきたい」と指揮官はうなずいた。今合宿では、コンセプトに掲げる「超速ラグビー」実現に向けた“エディー流”が明らかになった。 ■不変のモチベーターぶり 厳しい練習と人柄の印象のジョーンズ氏だが、W杯4大会連続出場のFWリーチは「怒る時は怒るけど、いいことがあればどんどん褒める」と言う。言葉で選手の心に訴える名将。合宿最初のミーティング時にプロボクシング世界4団体スーパーバンタム級統一王者の井上尚弥が表紙の雑誌を手に言い放った。「2027年に表紙を飾るのはこのチームにいるメンバーだ」。フッカー原田衛は「ワクワクさせてくれる。意識を高める感じがすごい」と目を輝かせた。 ■練習方針 この日は午前6時のレスリング練習から始まった。「きつい」(原田)と、ハードな時は同5時開始で1日4部練習を課すなど第1次政権時をほうふつとさせたが、リーチは「地獄だった15年と違って楽しい」と証言する。「(今は)プロフェッショナルな選手が多い」と、昼寝の時間も決め、ゴミ箱の中身もチェックするほどの徹底管理で体力アップに注力した前回と違い、自主性を尊重。世界の4強を狙うチームに成長したことで技術的な練習も増やした。科学的根拠による時間管理もし、量より質に重きを置く。 ■超速ラグビー 運動量を前面に出した体力勝負の15年とは違い、今回の目玉は「超速ラグビー」。走る、投げるという単純な速さだけではない。ラインアウトは息が整う前に始め、サインの判断、呼びかけ、プレー間の動きなどあらゆるところで速さを求め、この日の練習ではめまぐるしく局面を変える練習を重ねた。常に考え、動き続ける体力と精神力が必要だが、リーチは「世界一面白いラグビーができるんじゃないか。トップ4にいける」とニヤリ。今後に向けた試金石となる昨年W杯3位のイングランド戦。第2次エディー・ジャパンが、いよいよベールを脱ぐ。(大谷 翔太) ◆ラグビー日本代表候補・原田衛の6月10日の1日 ▽午前4時50分 起床、練習の準備 ▽6時 レスリング練習 ▽同50分 休憩 ▽7時 ウェートトレーニング ▽同50分 終了後、朝食 ▽11時15分 グラウンドでの練習開始 ▽午後1時50分 練習終了 ◆エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチの1次政権始動時 2012年4月3日、当時52歳のジョーンズ新HC率いる日本代表が、静岡・掛川市で合宿。暴風雨の中の始動となり、同HCは「ジャパンが嵐を巻き起こすというサインだ」と15年W杯の躍進を予感させた。当時も午前6時から始まる1日3部練習を行い「世界一のフィットネスとアタッキング」を掲げていた。
報知新聞社