3年目の朴槿恵大統領、韓国経済は崩壊するのか
急速に経済発展を遂げてきた韓国において、このところ個人消費の低迷やサムスンの失速など韓国経済の変調が顕在化している。さらには、これらに端を発したのか、金融派生商品の保証料率が上昇するなど、暗雲が立ち込め始めた。このまま韓国経済が崩壊するのか? 転換期を迎えた韓国経済の現状とは。
2014年の成長率は前年比3・3%増と前年より0・3ポイント高まったが、旅客船セウォル号の沈没事故を受けた個人消費の落ち込みなので、年後半以降、減速傾向にある。その後も輸出が振るわず、内需への波及効果が弱いために回復は鈍く、2015年も3%台の成長にとどまる可能性が高いとみられている。韓国は国内総生産(GDP)の輸出依存度が約5割を占めているが、最大の輸出相手先である中国の成長鈍化と、欧州経済の回復の遅れとデフレ懸念で2015年も引き続き伸び悩みが懸念されている。 韓国経済は財閥系企業への依存度が高く、サムスン電子の営業利益が全上場企業の約3割を占める。同社が1月29日に発表した2014年第4四半期(10─12月期)決算は、営業利益が前年同期比36%減の約5兆3000億ウォン(約53億ドル)となった。 2014年通年の営業利益は25兆ウォンで、過去最高だった前年の36兆8000億ウォンから大きく減少し、2011年以来の低水準となった。安価な中国製品や米アップルとの競争激化でスマートフォン事業が低迷したことが主な原因だ。韓国経済を牽引してきたサムスン電子の利益を支えてきたスマホ事業の失速は、これまでの韓国の「追撃型経済」の限界が見え始めてきたことの象徴ともいえ、構造的な問題になりつつある。
さらにサムスンの業績不振が影響したのか、最近では国債や社債の破綻リスクを示す指標が急騰していることも市場で話題になっている。韓国・聯合ニュースの報道によると、韓国債券のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の保証料率が1月下旬に前月比で約20ポイント急騰し、2013年2月以来、11か月ぶりの高水準となった。 CDSの保証料率は、破綻の危機が高まると上昇する。韓国経済がただちに破綻するような水準ではもちろんないが、市場関係者の間では、「韓国のリスクが大きくなったと市場で意識されはじめた兆候」とささやかれている。一握りの大企業の業績が国の経済成長を左右しかねない異常な状況となっていることへの警鐘ともいえる。 韓国経済は依然として消費が弱く、内需主導の景気回復が望みにくいだけに、今後もやはり輸出頼みの成長が続くことが見込まれる。しかし、為替市場が円安・ウォン高となっているほか、中国企業の追い上げなどがあり、競争環境は一段と厳しさを増している。為替頼みの価格競争で成長してきたこともあり、雇用増加に結びつかず、特に若年層の高い失業率の改善は急務だ。 韓国の政府や産業界は、従来の成長モデルがもはや通用しなくなっていることを十分認識すべきであり、次の成長戦略をいかに構築するかが問われている。転換期を迎えた韓国経済の課題といえる。 (3Nアソシエイツ)