粉飾決算で融資詐取疑い 専門商社「堀正工業」元社長ら3人逮捕
決算を粉飾して三菱UFJ銀行から融資金をだまし取ったとして、警視庁捜査2課は18日、ベアリング商社「堀正工業」(東京都品川区、破産手続き中)の元社長、堀雅晴容疑者(69)=品川区北品川5=ら男性3人を詐欺容疑で逮捕した。 【写真で見る】社会に衝撃を与えた事件 警視庁は、堀容疑者らが約20年にわたり不適切な会計処理を繰り返し、粉飾した決算書を複数の金融機関に提出して、不正に融資を受けていたとみている。 他に逮捕されたのは、同社元総務部長の大熊重康(73)=板橋区仲町、税理士の山口賢一(74)=板橋区大谷口2=両容疑者。 逮捕容疑は2022年11月~23年2月、堀正工業の経営が好調なように装った虚偽の決算報告書を三菱UFJ銀行に提出し、計5億円の融資金をだまし取ったとしている。警視庁は3人の認否を明らかにしていない。 捜査関係者によると、堀正工業は、堀容疑者が社長に就任した03年ごろから、売上高を水増しする一方、コストを低く見せかけるなどの不適切な会計が常態化していたとみられる。近年は実質的に債務超過に陥っていたという。 社内には粉飾決算の手順を記したマニュアルがあり、大熊容疑者が虚偽の決算報告書などを作り、山口容疑者が助言をしていたとみられる。不正に受け取った融資金は、他の金融機関への借入金返済や関連会社の運転資金などに充てていたという。 堀正工業から堀容疑者個人に対する30億円超の貸し付けも確認されており、別荘や高級外車の購入費などに流用されたとみられる。 民間の信用調査会社などによると、堀正工業は1948年9月に設立。ベアリングメーカー大手の代理店指定を受け、半導体や自動車関連企業などに販路を拡大した。 23年7月に破産を申し立てた時の負債総額は約282億円に上り、メガバンクを含む金融機関46行などが主要な債権者となっていた。金融機関からの被害届を受け、警視庁が捜査していた。【遠藤龍、森田采花】