欧州日本人「株上げた3人」「期待外れ3人」は? 森保ジャパンCB大飛躍…元新潟の技巧派は苦難【コラム】
今季欧州リーグでプレーした日本人選手の期待値“良し悪し”を独自査定
2023-24シーズンの欧州リーグでは多くの日本人選手がプレー。欧州初挑戦や異国の新天地で大きく株を上げた選手、期待どおりに活躍できなかった選手がいる。その中でも特筆に値する「トップ3」と「ボトム3」をピックアップする。 【一覧リスト】「言葉を失った」 森保ジャパンが「世界13位」“ドイツ超え”ランキング 今季は5大リーグ(プレミアリーグ、ラ・リーガ、ブンデスリーガ、セリエA、リーグ・アン)を主戦場とする日本代表の主力選手たちがそれぞれのリーグで評価を残している。ただし、ここではあくまで筆者が注目している中で、期待値を基準とした活躍度や成長度の評価で査定。欧州クラブに在籍する全選手を対象にランキング化したものではないことを前置きしたい。 また、デンマーク1部ブレンビーで、9得点8アシストと目覚ましい活躍を見せて、欧州ビッグクラブからの関心も伝わる鈴木唯人に関してはリーグランキングが15位ということもあり、今回の選考対象からは外した。 トップ3の1人目は南野拓実(ASモナコ)。リーグ・アン優勝には届かなかったが、主力としてリーグ戦9得点6アシスト、合計で15ゴールポイントを記録した。昨シーズンは慣れない環境や起用法に苦しんだが、ザルツブルク時代の南野をよく知るアドルフ・ヒュッター監督の下で、主に2列目のインサイドで鋭い動き出しとフィニッシュワークを発揮して、多くの試合でチームの勝利に貢献した。 なかでも第23節のRCランス戦では圧巻プレーで3-2勝利に貢献。記録上は相手のオウンゴールになったが、1-1の同点ゴールに絡むと、2-2で迎えた後半アディショナルタイムに豪快な左足シュートで決勝ゴールを叩き込む活躍を見せ、クラブの公式サイトをはじめ地元メディアで英雄的な賞賛を浴びた。代表復帰後はアジアカップによる欠場を挟む難しいシーズンで常に好調だったわけではないが、復帰後にも4得点2アシストを記録した。個人の活躍度もチーム内での貢献度も、日本人トップレベルのインパクトと言える。 2人目はベルギー3シーズン目となった町田浩樹(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)。ディフェンシブなポジションの選手としては最も飛躍した1人だ。主に3バックの左ストッパーで、リーグ戦31試合に出場して2位躍進を支えただけでなく、ベルギーカップでは守備の奮闘に加えて決勝ゴールを挙げて、110年ぶりの優勝。リーグ戦を含めると90年ぶりのタイトル獲得に大きく貢献した。 サイズを生かした対人守備や左足のキックに定評はあるが、シンプルに個としての強さを増しただけでなく、危機察知やカバーリングの能力は古巣の鹿島アントラーズから欧州に渡った3年前と比較にならない。来シーズンはUEFAチャンピオンズリーグ(CL)の予選3回戦からの出場が決まっており、残留か5大リーグにステップアップか、去就が注目される。 3人目は伊藤洋輝(シュツットガルト)だ。開幕当初は日本代表と同じ左サイドバックが定位置だったが、アジアカップから帰還後は左センターバックで獅子奮迅の働きを見せて、2位フィニッシュとCLの出場権獲得の立役者の1人になった。昨年11月に筋肉系の怪我を負い、そのまま国内でのリハビリを経てアジアカップに入った。その間に8試合に欠場し、バイエルン・ミュンヘンに0-3で敗れるなど、シュツットガルトは3つの黒星を喫している。 サイドバックも攻撃面を含めて様にはなってきたが、センターバックとして振舞ったシーズン後半戦のパフォーマンスは安定感があり、スピード系にもパワー系にも柔軟な対応を見せた。3-1で勝利した第32節のバイエルン戦では再び左サイドバックで起用されて、相手のキーマンであるセルジュ・ニャブリを封じるなど、ポリバレントな能力は今後の飛躍を後押しする要素だ。