3度目の正直なるか、米銀行規制当局が提案-過度のリスクは報酬回収
(ブルームバーグ): 米国の複数の銀行規制監督当局は6日、過度のリスクを取った幹部の報酬を一部回収するよう銀行に義務づけるルールづくりに向けて最初の一歩を踏み出した。このルールは長期にわたり策定が先送りされてきた。
連邦預金保険公社(FDIC)と連邦住宅金融局(FHFA)、通貨監督庁(OCC)などは、銀行幹部に対するインセンティブに基づく一部報酬について、回収義務づけの提案を行った。実際の施行には、連邦準備制度と証券取引委員会(SEC)も提案を行い、計画をまとめる必要がある。
最新案は報酬回収を銀行の自由裁量に任せた2016年の提案よりも踏み込むものだ。銀行業界は16年の案と、それに先立つ11年の案に抵抗した。こうしたルールは08年の金融危機につながった行き過ぎを防ぐため、10年に成立した金融規制改革法(ドッド・フランク法)で策定が義務づけられた。
FDICのグルーエンバーグ総裁は6日の発表文で、「この提案は代替案や前書きにある質問と併せて、対象金融機関の長期的利益や安全性・健全性と、従業員のインセンティブとを合致させるのが狙いだ」と説明した。
幾つかの米地銀が経営破綻に見舞われた昨年の混乱を受け、銀行幹部に悪い判断の責任を取らせることで議論が再び活発化した。
提案を行った当局は過去の事例として、ウェルズ・ファーゴのインセンティブに基づく報酬慣行に欠陥があり、不正行為を招いて「顧客への損害、罰金やペナルティー、金融機関としての多大なるイメージ悪化をもたらした」と指摘した。
新提案では、銀行幹部や突出した従業員の判断の結果が明らかになるまで、付与されたボーナスの現金化を待つよう強制することで、高リスクの行為を抑制する。
それによれば、大手銀行の経営幹部はインセンティブに基づく報酬のうち最小額について、支払いが一定期間先送りとなる。グルーエンバーグ総裁は、一部の幹部の場合、報酬の40-60%相当が最長4年間の先送りとなる可能性があるとしている。