所ジョージ、好感度タレントへの執着はなし
『面白そう』は、所にとって重要なキーワードになる。レギュラー番組では「番組に来ている面々が楽しく出来ればいいし、皆が大変な思いをするのであればやらなくていい。聞かれたくない話を聞いたり、突っ込んで話を転がしたりするのはゲストに失礼。気持ちよく帰ってもらわないと、私が面白くない。収録だって何回もリハーサルをして時間をかけるくらいだったら、番組自体やらない方がまし」と、近年のテレビ作りとは真逆な発想で臨んでいる。さらに「お客さんを会場に入れるような番組では、無理にお客さんを盛り上げないし、一丸となってやるつもりもない」と言い切る。その理由は「会場じゃなくて茶の間が湧けばいいわけだから」と、テレビの基本であるアウトプット先としての“お茶の間”を意識している。 来年に迎える還暦や引退の可能性についても、持論を展開する。「さんちゃん(明石家さんま)は『60歳になったら引退だ』なんて言っているけれど、あの男はずっとやるよ。だって好きなんだもん。舞台に集中したいと思っているだけなんじゃない?」と“明石家さんまの発言”を引き合いに話し始めると「(所自身は)どこかで急に辞めてもいいとは思っているね。それはさんちゃんも同じじゃないかな」とあっさりと引き際への覚悟を語る。一方で「でも急に辞めるとなるとテレビ局に迷惑がかかる。辞めるのであれば、半年くらい前に辞めることを決めて、後継者への引継ぎをするのが大人でしょ。でもそれが面倒くさい。そもそも辞めると言ってやり続ける消化試合は耐えられない。だったらずっと続けた方がいいし、今が面白いから『いついつ引退します』とか計画も立てられないんだよ」と、笑い飛ばす。 そんな所のモノの考え方を発信するBSフジの『所さんの世田谷ベース』(火曜午後11:00)では、地上波では拝見できない“ブラック”さがチラリと顔を出す。千原ジュニアら、そんな部分に惹かれる番組ファンも多い。10月には東京・台場で、所が企画を担当した同番組のイベント「アメリカン・ピクニックデイ」を開催。アメ車やアメリカングッズを展示するなど、ここでも自分の好きなものや表現したいものにこだわる。若かりし頃と比べて「ずいぶん丸くはなりましたよ。怒りを前面に出しても嫌われるだけだし」とは言うものの、9月13日に発表するCDアルバムも、14曲入りで700円という業界の常識を覆す形で売り出すところは、これまでと変わらず“尖って”いる。