小沢健二『tiny desk concerts JAPAN』収録レポ スチャダラパーも参加、番組の可能性を押し広げる「特別な空間」
スチャダラパーが登場、様々な試みで作り上げる「特別な空間」
続いては、オフィスの一角に座っていたスペシャルゲストのスチャダラパーを紹介。「NHK、どんだけ綺麗かと思って来てみたら、結構散らかってるってことに気付きました。そんな歌を歌います」とBOSEが告げ、続く「ラブリー」はスチャダラパー「大人になっても」とのマッシュアップ・バージョンで披露した。 「ローカル」をテーマにした短いエッセイの朗読を挟んで、今年行なったライブで披露している新曲「台所は毎日の巡礼」へ。料理や食べ物のことを歌詞にした、親しみやすさと深遠さを併せ持つような楽曲だ。再びスチャダラパーの3人と共に「ぶぎ・ばく・べいびー withスチャダラパー」を披露。軽快なリズムに乗せてBOSE、ANIのラップと小沢の歌声が絡み合う。続けて「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」と「いちょう並木のセレナーデ」を繋げた「River Suite 川の組曲」を歌う。「いちょう並木のセレナーデ」のサビでは「歌える人、歌おう」と小沢が観衆に声をかけ、ひかえめなシンガロングが響く。曲の終盤で迫力あるティンパニの音が盛り上がりを生み出す。 ラストは「今夜はブギー・バックwithスチャダラパー」。再びオーディエンスがホイッスルで参加し、熱量の高い空気を作り出して終了。「ギリギリ最後の一秒まで演奏します」と小沢は最初に宣言していたが、この日のパフォーマンスは一回も演奏を止めずに曲や朗読を繋いでいく構成だった。背景に手書きの文字で書かれた歌詞やモノローグの言葉を映し出していたことも含めて、とても作品性の高い『tiny desk』のパフォーマンスだったように思う。 ちなみに、この日は小沢本人からスマートフォンでの映像撮影がOKされていた。観衆であるNHKで働くスタッフが撮った映像は番組にも使われるようだ。単にステージの上でパフォーマンスするだけでなく、いろんな仕掛けやアイディアに満ちた試みで「特別な空間」を作り上げるのがここ最近の小沢健二のライブの大きな魅力の一つでもある。この日の『tiny desk』で見せてくれたのも、番組自体の可能性を押し広げるようなパフォーマンスだった。 --- ◎放送予定 【NHK総合】2024年11月18日(月)23:00~23:29 ※NHKプラスでの同時・見逃し配信あり
Tomonori Shiba