【大学野球】寮長として徳を積む立大・齋藤大智 明大戦で放った逆転満塁弾
「久しぶりに、興奮しました」
【10月12日】東京六大学リーグ戦第5週 立大5-4明大(立大1勝) 徳を積む。 智徳寮の寮長・齋藤大智(4年・東北高)は日々、施設内の掃除を率先して行ってきた。毎朝、自身に任された3階を終えると、全フロアをチェック。不備のあった場所は、グループLINEでやり直しを連絡するという。自ら自転車を並べるなど、寮周辺も細かく見て、気持ち良く練習に入るようにしている。 立大・木村泰雄監督は「齋藤は常日頃から言葉数は少ないですが、背中でけん引してくれる」と目を細める。人に任せるのではなく、最上級生が動く。寮生活は残りわずか。齋藤は野球以前に、学生として取り組むべき大切な活動を日々、後輩たちに残している。 野球の神様は、微笑んでくれた。 明大1回戦はビハインドの展開だった。エース右腕・小畠一心(3年・智弁学園高)が2回途中3失点で降板。立大は0対3の2回裏、黄之芃(4年・興南高)のソロと、齋藤大智(4年・東北高)の逆転満塁弾でリード。昨春の東大2回戦以来、通算3号である。明大の先発左腕・毛利海大(3年・福岡大大濠高)のフルカウントからの真っすぐをたたいた。立大は5投手のリレーで、1点差を逃げ切った。明大に先勝である。 「久しぶりに、興奮しました。1年分ぐらい、声が出た(苦笑)。頭の中に変化球がありまして、ストレートを張って、変化球の対応でいきました」(齋藤) 立大は3カードを終えて、慶大から挙げた勝ち点1。法大戦と早大戦は1勝を挙げながらも、勝ち点を落とした。1カード2勝が課題。齋藤は「勝ち点を取りたい」と力を込める。
結果を残すことはもちろんだが、現4年生は立大に新たな文化を継承したい思いがある。 「昨年は迷惑をかけて(一部の野球部員による問題行為が一部報道で発覚)、今年は一からのスタートでした。この1年間、作り上げてきたものは大きい。自分で言うのは恥ずかしいですけど、4年生の意地がある」(齋藤) 徳を積む。そこには、計算高い発想は一切ない。齋藤はこの秋、智徳寮を退寮するその日まで、寮長としての責務を全うしていく。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール