富山地鉄が値上げ 市電、鉄道3路線 29年ぶり 2025年4月、30~280円
富山地方鉄道(富山市)は来年4月1日から、鉄道全3路線と富山市内を走行する市内電車(軌道)の運賃を引き上げる。消費税率の変更時を除き、運賃の抜本的な改定は1996年以来29年ぶりで、改定率は鉄道で平均12・2%、軌道で13・0%を見込む。29日、北陸信越運輸局に上限運賃の変更認可を申請した。設備更新がかさみ、利用者も減ることも見込まれる中、維持してきた運賃改定に踏み切った。 【図表】運賃値上げの例 運賃は事業者が国土交通省に上限の変更を申請し、認可されれば、その範囲で利用者が払う「実質運賃」を決められる。富山地鉄は上限の改定率を鉄道、軌道ともに25%で申請。実質運賃の引き上げ額は普通旅客で鉄道が30~280円、軌道が30円を想定する。定期旅客は鉄道で通勤が平均13・7%、通学5・5%。軌道は通勤が平均10・7%、通学8・9%となる。 鉄道は電鉄富山駅と宇奈月温泉駅を結ぶ本線、立山方面に伸びる立山線、大山地域などを走る不二越・上滝線の3路線。同社によると、利用者の減少や資材高騰による修繕費の増加などで確認ができる2004(平成16)年度から赤字が続き、前期(2024年3月期)は鉄道事業の営業損失は約9億円。社全体の営業損益は5期連続の赤字となった。今月28日には鉄道路線の存続に向け、新田八朗知事と沿線7市町村長が集まった会合が初めて開かれた。 軌道は20年2月に富山ライトレールを子会社化して以降、北端の岩瀬浜と駅南側にある3路線(環状線、南富山駅前、富山大学前)を結ぶ。前期は約3千万円の黒字だったが、車両の更新や修繕には1台約3億円がかかることから、「車両サービス維持には全然足りない」(担当者)とされる。