伊藤美誠が警戒すべき15歳の伏兵。小塩悠菜は打倒中国の秘密兵器となれるか?
1月22日に開幕する全日本卓球選手権大会。平野美宇と伊藤美誠によるパリ五輪の女子シングルス枠を争う戦いに注目が集まる中、ともに勝ち抜けば伊藤が4回戦で対戦することになる15歳・小塩悠菜が思わぬ伏兵として大会に波乱を起こす存在となるかもしれない。 (文=本島修司、写真=T.LEAGUE/アフロスポーツ)
こんな戦型で世界のトップに? 変幻自在でしかない選手
一人の女子卓球選手が話題になっている。2023年、ITTF世界ユース選手権スロベニア大会・U15女子シングルスで優勝を飾った小塩悠菜だ。彼女はよく「変幻自在」と言われる。この言葉はスポーツ選手を表現する時、簡単に使うことができるフレーズだ。卓球の世界もそれは例外ではない。 しかし、これほどまで「変幻自在でしかない選手」は、近年なかなかお目にかかれない。 高速攻撃卓球が全盛の時代。カットマンならば、近年屈指の名手・佐藤瞳などが今も健在で日本の女子卓球を引っ張る頼もしい存在だろう。しかし、カットマンではないスタイルとなると、前陣ツブ高の選手ということになる。日本では出澤杏佳のような戦型だ。 しかし、それともまた違う、見たこともない戦型を確立しつつあるトッププレーヤーがいる。「こんな戦型で世界のトップになれるのか」。すべての卓球ファンがそう唸らされる存在。それが小塩悠菜だ。
見たこともない『グリップ』
小塩は、まず、グリップが違う。とても独創的なラケットの持ち方をする。ラケット自体は、よく見かけるシェ-クハンドだ。しかし、シェ-クハンドの持ち方はしない。フリスビーを持つようなグリップだ。シェ-クハンドを、ペンの様に持っている。簡単に言えば、ペンホルダー表ソフトの進化系という言い方がわかりやすい表現となる。 そのグリップで、ボクサーの「ジャブ」のような連打を浴びせていく。俊敏な動きで、ボクサーのような華麗なフットワークを踏む。立ち位置は前陣が多く、横の動きがとても速い。表ソフトの速攻卓球の見本のようでもある。その上、ハードパンチャーだ。基本にはかなり攻撃的な卓球といえる。昔の卓球界に多かった「中国式ペンホルダー」と呼ばれる丸い形のペンホルダーを使っているようにも感じる。 しかし、使っているラケットは紛れもなくシェークハンドなのだ。ラバーは、フォア面には硬めの表ソフトラバー、バック面には微粘着性の裏ラバーを貼っている。