誰もが恐れるMリーグの注目雀士・伊達朱里紗「満足できる試合は年に2、3回」
伊達 Mリーガーになる前から「オクタゴン」という渋谷の雀荘(ジャンそう)で、麻雀が強い友人に対局を見てもらって勉強しています。 あと、昨シーズンからは、太(ふとし)くん(「赤坂ドリブンズ」所属・渡辺太選手)や堀さん(「KADOKAWAサクラナイツ」所属・堀慎吾選手)など、敵チームの選手にもガンガン麻雀の質問をするようになりましたね。話を聞いてみると、知らない着眼点がどんどん出てきますし、「やっぱりこの人たちすげえ!」ってなります。 ――敵チームの選手にも聞くんですか? 伊達 ええ。もちろん人それぞれ多少は戦術を隠したりすることもあると思いますが、私も含めて基本的には麻雀の話をしたくてたまらない生き物なので、皆さん喜んで話してくれますよ。 ――ほかの競技ではあまり聞かないので意外でした。 伊達 ただ、麻雀って1個学ぶとそこから10個の新しい疑問が生まれてくるんですよ。だからずっと「どれだけ勉強しても、また新しい知識が出てくるじゃん!」って思ってます。そこが麻雀の面白いところなんですけどね。 ■自身のスタイルは「キメラ麻雀」 ――Mリーグだからこそする対策とかもあるんですか? 伊達 Mリーグは同じ選手と何度も対局することになるので、それぞれの選手がどういう雀風(ジャンぷう・麻雀の打ち筋)なのか、どういう傾向を持っているのかは意識します。 例えば、仲が良いのであえて言っちゃいますが、渋川さん(「KADOKAWAサクラナイツ」所属・渋川難波[なんば]選手)は愚形リーチ(アガリ牌の数が少ない手配でのリーチ)が多いので、早い巡目でリーチがかかってもあまり気にせず切りたい牌を切っちゃおうとか。 でも全員がずっと同じ打ち方をしているわけではなく、どんどん変わっていくんです。Mリーグ全体の流行次第で変わることもありますし。 ――打ち方に流行があるんですか?
伊達 それがあるんですよ! 初期は安全牌を抱えながら進める守備的なスタイルが主流だったんですが、昨シーズンはガンガン押す攻撃型がはやったんです。麻雀の打ち方って、それこそ昭和の時代から流行が移り変わっていってるみたいですね。 ――では今シーズン、どんな打ち方がはやるのかも見どころですね。伊達選手も打ち方を変えるんですか? 伊達 あまり意識して変えようとはしていませんが、「これ、強いかも」と思った戦い方を試してみて、「うん、違ったな」となることはけっこうあります(笑)。 私は、基本的には押し引き(攻めと守りのバランス、タイミング)が重要だと思っていて、そこがブレなければ何してもいいかなと思っていろいろ試しています。Mリーグをしばらく見続けていただければ、そういう試行錯誤の過程を感じていただけるかもしれません。 ――ちなみに伊達選手は、自分をどういう打ち方の選手だと考えていますか? 伊達 いろんな人のいいところを取ってちぎって複合させた「キメラ麻雀」だと太くんに命名されました。そのとおりだと思いますし、なんにでもなれそうな感じがカッコいいのでとても気に入ってます(笑)。 ――今年も、伊達選手のキメラ麻雀を楽しみにしてます! では最後に今年の抱負を。 伊達 もちろん優勝です! 今シーズンは麻雀格闘倶楽部としてMリーグ7年目ですが、まだ優勝したことがないので、今年はとにかく優勝を目指して、チーム一丸となって頑張ります! ●伊達朱里紗(Arisa DATE)1991年生まれ、兵庫県出身。日本プロ麻雀連盟所属のプロ雀士。MリーグではKONAMI麻雀格闘倶楽部に所属。加入した2021-22シーズンで最高スコア賞を獲得すると、翌22-23シーズンでは個人MVPを、23-24シーズンでは4着回避率賞を獲得し、タイトルを総なめにしている 取材・文/伊藤将史 撮影/榊 智朗 ヘア&メイク/尾古夢月