ハーバードに通うプロサーファー【五十嵐カノア】さん(27)、誰もが認める「ハイスぺ男子」の幼少期|STORY
両親が僕を信頼し与えてくれた、世界へのチャンス
12歳でスポンサーがつき、オーストラリアやヨーロッパに行くチャンスを得ました。父は「いいの?と…、12歳でまだ若いし危ないからやめたほうがいいんじゃない」と最初は心配していたけれど、どうしても行きたい!と伝えたので、僕の強い意志を尊重し、行っておいでと背中を押してもらいました。正直、自分だったら、12歳の息子には絶対行かせないと思います(笑)。父にとっては苦渋の決断だったはず。ただ僕には素晴らしい経験でした。そのときに出会ったプロサーファーからいい刺激を受け、それが今に繋がっていると思います。 もちろん失敗もあって、自分の考えの甘さから、いろいろトラブルもありました。10代の頃ですが、パスポートを飛行機に忘れて入国できないこともありましたね。小部屋に入れられ、苦しい時間でした。当時はパスポートを軽く考えていたけれど、それ以来パスポートは絶対になくさないと決めました(笑)。経験しないと、わからないものですよね。
困難なことに挑戦するのが喜び。また新たなトップを目指して
3~4年くらい前からビジネスや経営学に興味を持つようになって、勉強したいな…と。昔から勉強がメインで、その次にサーフィンという感覚がベースにあったので、最近は勉強していないことを不思議にも思っていました。中学高校を飛び級して15歳で高校を卒業し、世界各国で活動する中で5カ国語をマスター、そして今回ハーバードビジネススクールで学ぶチャンスを得ました。パリオリンピック前年の9月からチャレンジすることになり、周囲からは「そんなことできないでしょ?」と言われましたけれど。勉強している時の集中力も面白いんです。勉強している時はサーフィンのことは全く考えない。サーフィンしている時は勉強のことは全く考えない。このオフとオンの切り替えが好きですし、努力して普通の人が考えもつかないことをやるのに強く惹かれます。ビジネスとスポーツを繋げたい気持ちが大きく、投資にも興味があります。大学院で学ぶことも楽しいですが、教授や素晴らしいクラスメートたちとの出会いにも感謝しています。詳しく説明をしなくても理解してくれるので話しやすいですし、年も近く、さまざまな目標を掲げる彼らの話に刺激を受けます。活躍する場は異なっていても、トップにいる人たちは似ているものなのだと…努力の意味がわかる人たちだと思いました。こう話していると、僕は子どもの頃から感覚は変わっていないのかもしれません。困難なことにチャレンジすることに喜びを感じること、トップを常に目指していること。これからもその挑戦は続くのだと思います。 撮影/森脇裕介 ヘア・メーク/RYO 取材/竹永久美子