大雨で一部農産物に先高観 スイカやエダマメに影響か
東北地方を襲った大雨の影響で、盛夏を代表する食材のスイカとエダマメの相場の先高観が強まっている。29日は一部で入荷乱れがあった程度だが、需要期の8月盆に向けて入荷が減り、価格が上昇するとの見方が市場関係者に広がっている。 【データで見る】エダマメの日農平均価格と取引量の推移 大玉スイカの29日の日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は平年比30%高の1キロ250円だった。7月は気温高で引き合いが強く、高値が続いている。山形、秋田産が主力で、大雨被害の影響は29日時点では一部の入荷乱れにとどまったものの、今後少なくなる懸念が高まっている。 今年は山形産の出荷が前進傾向で、盆前に反動で減って相場上昇が見込まれていた。東京の青果卸は「大雨による産地ロスが多ければ、8月盆前は当初の見込みより品薄高となる」と危機感を強める。 需要は旺盛だ。関東の青果卸は、学校の夏休みの需要増に加えて「他の夏果実が高値の中、カット売りなどで売価を調整できることからスーパーからの引き合いが強い」という。関東の大手スーパーでは、皮なしでブロックカット売りのスイカの販売が伸びている。7月の売上高は「好調だった前年をさらに5%ほど上回る売上高になっている」(同スーパー)と話す。 野菜ではエダマメが強含みの展開。29日の日農平均価格は1キロ954円と平年比53%高。東京の青果卸は「現在の主産地は関東。29日時点では入荷量や相場に大きな影響はない」とした上で、「関東産が前進していた分、減少も早く、端境期で品薄感が強い」と話す。 東京都中央卸売市場では8月のエダマメ入荷量の6割を秋田、山形産が占める。山形のJAは前週、関東への出荷を開始。「影響の程度は不透明だが、冠水した畑の排水と防除作業を進めている」という。秋田県南のJAは「冠水被害は一部。現時点で出荷に大きな影響はない」とし、「長雨で肥大が進んだため収穫を急ぐ」と話す。 他の卸は「増量期を控えた時期の豪雨で、主産地の出荷に影響は出そうだ」と懸念。猛暑と少雨による品薄で高騰した昨年と同様、「需要期の8月盆に向け逼迫(ひっぱく)感が強まる」と見通す。
日本農業新聞