岸田総理は明言したが、9月までに「憲法改正実現」の可能性は極めて低い 田﨑史郎が指摘
作家で自由民主党・参議院議員の青山繁晴と政治ジャーナリストの田﨑史郎が2月1日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。「自民党総裁として憲法改正を実現したい」と明言した岸田総理について解説した。
岸田総理、憲法改正について「自民党総裁として実現」と明言
岸田総理大臣は1月30日の施政方針演説のなかで、憲法改正について「あえて自民党総裁として申し上げれば、(9月までの)任期中に実現したい」と明言した。総理就任後、初めて憲法改正の目標時期に言及した。 飯田)任期中に実現したいと明言しました。「9月までの」という言葉はメディアが補足していますが、総裁任期は今年(2024年)の9月までとなっています。それだけ本気度が高いのでしょうか? 青山)僭越ながら、この総理の言及に関しては高く評価します。総理として施政方針演説をしているのに「自由民主党総裁として発言するのはおかしい」と言う人もいますが、それは全然わかっていないですよね。まず日本の総理大臣には任期がないのですよ。 飯田)任期がない。 青山)大統領制と違って、定められた期間がない。だから実質的に自由民主党が政権党であれば、自由民主党総裁としての任期が総理の事実上の任期になるのです。期限をきちんと区切って「いつまでにやる」と言う場合、「自由民主党総裁の任期中に」とするのは当然のことです。
「憲法改正の実現」には、総議員の3分の2を獲り、国民投票で過半数を上回らなければならない
青山)あの安倍さんでもついにできなかった、一字一句変えられなかった憲法について、9月までにやるということです。「実現したい」という表現ですが、総理・総裁の言葉は本当に重いので、「やる」ということだと思います。あと約7ヵ月しかないわけです。「憲法改正の実現」ということは、発議だけでなく「国民投票法に基づいて国民投票を行い、過半数を上回る。その前に総議員の3分の2も獲る」という意味です。とてもタイトなスケジュールですが、よくおっしゃったと思います。その代わり、実行しなくてはなりません。 飯田)どうやって実現するのか。 青山)まず3分の2の形成ですが、私は「憲法改正は9条からやるべきだ」と亡き安倍さんにも申し上げていましたし、いまもその信念は変わりません。議員になって10ヵ月だったときに提案した「自衛の措置を妨げない」という内容が盛り込まれているので、私は9条をやって欲しいけれど、亡き安倍さんと私で言い争いになったのは、「それでは公明党はついてこない」ということでした。 飯田)公明党の賛同を得られない。 青山)しかし、「自衛の措置を妨げない」という私の意見を、当時の憲法改正推進本部(現・実現本部)で細田本部長が入れてくれたのです。そのあと安倍さんと話したら、「これでは公明党がついてこないから3分の2を取れない」と言っていました。だから、いまは文言のなかに盛り込んでいるわけです。ただ、岸田総理はそれをやると9月までに間に合わなくなるというお考えでしょう。 飯田)間に合わない。 青山)だから他の項目でやろうとなさっていますが、初めて憲法改正ができれば、きちんと96条が、改正条項が使えます。私や安倍さんの方が護憲派なのですよ。96条の意義を感じて、「必要があるときは占領下でつくられた憲法を変える必要がある」と主権者の方々が思ってくだされば、96条を使う。9月までに実現できたら凄いことです。自分で期限を切ったのだから、不退転のはずではないですか。僭越ですけれど、高く評価します。