ゴミ問題はマラソン大会にも 湘南国際マラソンが約9トンの削減に成功
大きなマラソン大会では、給水ポイントの紙コップなどのゴミが大量に出る。冬の大会では使い捨ての簡易防寒を用いるが、それもゴミになる。参加者5万人規模の大会ともなると、30トンほどのゴミが出るということだ。そこで湘南国際マラソンでは、給水用の紙コップをマイカップやマイボトルに変更するなどの工夫を導入し、およそ9トンのゴミ削減を果たした。 2024年12月1日に開催された第19回湘南国際マラソンには約2万人が参加したが、ゴミの量は約2.8トンと非常に少なかった。2019年の大会では約11.5トンあったので、76パーセントの削減ということになる。それを実現させたのは、大会主催者の2つの取り組みだった。 ひとつは、2022年から導入しているマイカップ・マイボトル方式だ。同大会では約200カ所の給水ポイントが設けられたが、できるだけマイカップやマイボトルを持参して使うよう呼びかけた。 参加ランナーのアンケートでは(回収率は約3割)、95.4パーセントが賛成していた。「ゴミが落ちていないコースはきれいで走りやすい」、「好きなタイミングで給水を摂れるのがよい」、「ボランティアの負担も軽減される」などの意見が寄せられた。 もうひとつは、「クリーンスタートプラン」だ。冬の大会では、出走者はスタート時に体を冷やさないよう使い捨てのレインコートやポリ袋を羽織ることが多い。走り出して身体が温まってくるとそれを脱ぎ捨てるため、ゴミとなる。クリーンスタートプランでは、スタートから約5キロメートル地点までの間に着用した防寒具を回収して、レース後にランナーに返却する。これも、ランナーの約8割が「よかった」と答えた。「いままで着用できなかった薄手のダウンで快適に待機できた」、「脱ぎ捨てる罪悪感がなくなった」といった意見が寄せられた。過去の大会では120キログラムほどあった防寒具のゴミは、今回は50キログラムまで削減できた。 残るは給食のゴミ対策だ。湘南国際マラソンでは6カ所の給食ポイントでレーズンやドーナッツやバナナなどの軽食が配られた。これらは個包装のためどうしてもゴミが出る。走りながら取り損なって地面に落ちるものもある。今後はそこを改善して、さらなるゴミ減量に挑むということだ。 マイカップ・マイボトル方式は、2024年10月の第49回札幌マラソンでも採用されるなど、広がりを見せている。
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