「反則」でも笑わせたら勝ち あえて「邪道」を歩むラパルフェはお笑いエリート【今週グサッときた名言珍言】
【今週グサッときた名言珍言】 「俺らを早めに落としておけば、ロングコートダディが微妙な顔することもなかったんだ!」 (都留拓也/TBS系「ラヴィット!」12月5日放送) 【写真】R-1優勝の田津原理音は芸歴10年目のネタ職人 夢だらけの前途と“穴馬”新王者の重圧 ◇ ◇ ◇ テレビ朝日系「M-1グランプリ」準々決勝で披露した漫才が、配信(その中からワイルドカードが投票により選ばれる)されると瞬く間に話題となったラパルフェ。 2021年に準々決勝へ進出した際も、都留拓也(30)が得意とする「ドラゴン桜」阿部寛のモノマネで「『M-1』の結果は、もう吉本がすでに決めてある!」などと痛烈に「M-1」をイジり話題となった。 今年はコンビでニューヨークをモノマネしただけでなく、彼らの漫才を完コピした上で都留は再び阿部寛に、相方の尾身智志(30)は堺雅人に扮し、やはり強烈な「M-1」イジリを披露。終了時間を告げるブザー音までネタに組み込む周到っぷりで、インパクトを残した。 圧倒的な「いいね!」の数を獲得したものの、ワイルドカードには惜しくも届かなかったが、「ラヴィット!」ではそのネタをニューヨーク本人たちの前で披露することに。その漫才に加えられたワイルドカード進出組をも阿部寛の口調でイジった都留のひと言が今週の言葉だ。 2人は中学からの同級生。大学は別だが、尾身が進学した早稲田大学のお笑いサークル「お笑い工房LUDO」に一緒に入会し、コンビを結成した。サークルの同期にはアンゴラ村長(にゃんこスター)がいた。さらに、同世代には令和ロマンやラランドらがおり、16年の大学お笑いの賞レース「大学芸会」では、彼らを破って優勝しているエリートだ。 注目されるのも早かった。コンビ結成翌年の19年に映画「トイ・ストーリー4」が公開されると、都留のウッディのモノマネがSNSで話題となり、同じ年に始まった「結婚できない男2」をきっかけに阿部寛のモノマネも開発。これらのネタで「ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ」(フジテレビ系)などに出演し、知名度が急上昇した。 一方、尾身は顔が似ているため、堺雅人のモノマネを周りから勧められていたが、躊躇(ちゅうちょ)していた。都留の顔にインパクトがある分、自分が中途半端にやっても邪魔になるだけだと考えたのだ。だが、説得され、始めると大成功だった。 「いままで何もしなかったんで伸びしろがめちゃくちゃあって、めきめき面白くなって営業に行ってもこっちのほうがウケます」(YouTube「ニューヨーク Official Channel」24年9月1日)と都留は言う。ニューヨークのモノマネも、もともとのスタートは尾身による嶋佐の宣材写真の顔マネからだった。 彼らは自分たちの漫才を「反則」「邪道」と言ってはばからない。「勝ち上がるネタじゃなく、会場のお客さんを笑わせるネタだから、優勝には固執してない」(都留)、「優勝よりも『M-1』で売れたい」(尾身=ともに集英社「週刊プレイボーイ」24年12月30日号)と2人は言う。たとえ“反則”でも目の前の客を笑わせたら勝ちだ。“エリート”である彼らが“邪道”を歩むのが面白い。 (てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)