ソウルラッシュ（右）とセリフォス

［ＧⅡ富士ステークス＝２０２４年１０月１９日（土曜）３歳上、東京競馬場・芝１６００メートル］ 　１１月１７日に行われるＧⅠマイルチャンピオンシップ（京都芝外１６００メートル）の前哨戦として定着した富士Ｓが今週の土曜東京メイン。ＧⅡに昇格して５年目を迎える。来年度からは前哨戦の施行時期が見直されて本番まで中４週の位置付けとなるが、今年も好メンバーが揃った。勝ち馬には本番の優先出走権が付与される一戦。主役になると思われたジャンタルマンタルが熱発のため回避し、秋のマイル路線は混戦ムードが漂ってきた。 　ＧⅠ安田記念の１、２着馬（ロマンチックウォリアー、ナミュール）は不在。同３着のソウルラッシュ（牡６・池江）には必然的に注目が集まる。前２年の安田記念で大敗していたが、今年は３着好走でその苦手意識も払拭。この富士Ｓは一昨年に２着歴があり、悲願のＧⅠ制覇に向けてもここは格好をつけておきたいところだ。 　セリフォス（牡５・中内田）は一昨年、この富士ＳとマイルＣＳを連勝した。しかし、今年はＧⅡマイラーズＣ２着、安田記念５着でともに前出ソウルラッシュの後塵を拝している。安田記念には３年連続で挑戦して４、２、５着と掲示板を確保しているように、舞台適性は十分。一昨年Ｖ時の藤岡佑と久々のコンビを組むだけに、いいときの走りがよみがえれば復活のシーンがあっても何らおかしくない。 　ＧⅢ中京記念で重賞初Ｖを飾ったアルナシーム（牡５・橋口）は、横山典と３度目のコンビで持ち味をフルに発揮した。ベストは６勝中５勝を挙げる１８００メートルと思えるが、レースぶりを見る限り１６００メートルになっても不安は感じられない。粗削りだった素質馬がようやく完成の域に近づいてきただけに、重賞連勝で一気にＧⅠ戦線の主役に躍り出る可能性もありそうだ。 　リステッド・朱鷺Ｓを制したバルサムノート（牡４・高野）は、僚馬ジャンタルマンタルの分まで好走が期待される。スタートに課題があるものの、好位で流れに乗れればしぶといタイプ。マイル戦は久々だが、１８００メートルでのリステッド勝ちがあるだけに大きな不安とはならない。 　他方、美浦・堀厩舎は２頭出し。昨秋の１勝クラスから３連勝でオープン入りを果たしたジェイパームス（セン４）は、前走後に去勢手術を施されての復帰戦となる。初のマイル戦だが、今後の大舞台を見据えると賞金加算を果たしたいところだ。また、ゴンバデカーブース（牡３）はＧⅠ日本ダービーで１３着と大敗したものの、ＧⅢサウジアラビアＲＣ優勝、ＧⅠ・ＮＨＫマイルＣ４着の実績がある。得意舞台に戻れば軽視は禁物だろう。 　ルメールとのコンビで臨むパラレルヴィジョン（牡５・国枝）、昨年２着のレッドモンレーヴ（牡５・蛯名正）、前走・関越Ｓのレコード勝ちが光るクルゼイロドスル（牡４・高橋忠）、着実に地力をつけてきたジュンブロッサム（牡５・友道）、ＧⅢ京成杯ＡＨ２着で復調ムードを見せたタイムトゥヘヴン（牡６・戸田）なども実力差は少なく、展開ひとつで上位に食い込んできそうだ。