ハリス副大統領

（ブルームバーグ）： ハリス米副大統領は、2024年大統領選で民主党候補指名を確実にしてから初めて労働組合に直接売り込みを図った。取りこぼしが許されない極めて重要な支持層の一角を固めることが狙いだ。

ハリス氏は25日、大統領候補として自身を支持した最初の労組の１つである米国教員連盟（ＡＦＴ）の会合で演説し、労働者の組織化権を強化するとともに、公教育を守り、給付金制度を保護すると述べた。自らのメッセージを広め有権者を結集させ、共和党候補のトランプ前大統領に対抗すべく、積極的に遊説をこなしている。

ハリス氏はＡＦＴの会合で「トランプ氏とその過激な同調者たちは、失敗したトリクルダウン（富裕層が富めば経済活動の活発化で貧困層にも波及し経済全般が潤う）政策や労組つぶし、富裕層減税に米国を戻そうとしている」と批判。「われわれの闘いは未来のため、自由のためのものだ」と主張した。

労組に対する訴えは、ハリス陣営が組合の有権者を大統領選を左右し得る決定的な層と位置付けていることの表れで、大統領選が約100日後に迫る中、陣営は戦略を一新している。

ハリス氏は史上最も労組寄りの大統領だと自負したバイデン氏から民主党候補の座を引き継ぐ。しかし、そうした確立した実績のないハリス氏は、態度が揺れ動く一部の巨大労組を味方につけなければならない。トランプ氏が貿易や関税などの問題ではポピュリスト的な経済政策を打ち出し、文化的な問題では保守的な姿勢を示して一般労働者に食い込もうとしている状況だけになおさらだ。

100万人以上の組合員を擁し、20年の大統領選ではバイデン氏を支持した全米運輸労組（通称チームスターズ）はまだ今年の大統領選での支持を表明していない。組合広報担当者によると、チームスターズは支持表明について検討するため、ハリス氏を組合員との懇談会に招待した。

同労組は民主党候補を支持してきた長い歴史があるが、ショーン・オブライエン会長は今年の共和党全国大会で演説し、民主党側を怒らせた。オブライエン会長は、組合員の多様な意見を反映させるため、両党の大会での演説を求めたと語っている。