監督に送った1通のメールから6年。俳優・宮田佳典、企画から参加した代表作の誕生に喜び「念願が叶って本当にうれしい」
代表作が欲しいと思ってはじめた作品
2024年9月27日(金)には、俳優仲間の佐野弘樹さんとともに企画から立ち上げた映画『SUPER HAPPY FOREVER』が公開になる。この作品は、海辺の街を舞台に、青春期の終わりを迎えた人々の“奇跡のような幸福なひととき”を描いたもの。2023年、第71回サン・セバスチャン国際映画祭でプレミア上映された短編映画『水魚之交(すいぎょのまじわり)』を基に製作された。 伊豆のリゾートホテルにやって来た幼なじみの佐野(佐野弘樹)と宮田(宮田佳典)は、思い出の場所を巡りながら、かつて失くした赤い帽子を探しはじめる。そこは5年前、佐野が亡き妻・凪(山本奈衣瑠)と初めて出会い、恋に落ちた場所で…というストーリー。 ――佐野さんと2人で五十嵐監督にお仕事しましょうというメールを送ったのがきっかけだったそうですね。 「6年前、最初に会ったとき、五十嵐さんに僕ら2人が主演の作品を撮ってくださいとお願いしたんです。でも、五十嵐さんは、そのとき準備している企画がなくて(笑)。 『じゃあ2人でちょっと考えてきます』みたいな感じで2年ぐらいかかって長編2本書いたんです。その間もずっと話し合いを繰り返していました。たくさんの時間を共有するなかで、ある日五十嵐さんが書きますと言ってくれて、始まっていきましたね。 そのときにちょうどプロデューサーの大木真琴さんと江本優作さん、脚本家の久保寺晃一さんが入ってくれて、まずは短編を撮ろうということになって、完成したのが『水魚之交』でした。 それがいきなりサン・セバスチャン国際映画祭でプレミア上映されて! 映画祭に僕たちは行けなかったのですが、本当にうれしかったです」
――長編になるにあたって変更したことは? 「僕と佐野くんが幼なじみという設定は一緒です。そこに長編では凪という役が加わって、赤い帽子を探しに行くという物語になったので、結構変わりましたね」 ――凪役の山本(奈衣瑠)さんは、宮田さんがオーディションで出会ったのがきっかけだったとか。 「そうなんです。山本さんが主演される作品のオーディションで相手役をさせていただきました。僕はその作品には関わらなかったですが、上映会に行ったときに、たまたま隣に山本さんとマネジャーさんが座られたんです。 ちょうど凪の人物像をみんなで話し合っていたときだったのですが、ふと山本さんを見たら服装がおしゃれで。きっと赤いキャップを被ったらすごく似合うんだろうなぁ~って思ったんです。 何か凪っぽいというか、凪って呼びたくなるというか。それで皆に提案したら『とても良いね』ってなって、そのままキャスティングにつながりました。 佐野くんとも話したんですけど、企画、台本からずっと関わっていたので、撮影の初日、凪が衣装を着て歩く最初のシーンを見たときはすごく感動しましたね。『ああ、凪が歩いている』ってなって。2人ではしゃいでいました(笑)」 ――キャラクターの設定も、それぞれおもしろいですよね。宮田さんはボクシングをやっていますが、ちょっと怪しげなセミナーみたいなのにハマっていて。 「そうなんですよね。だから佐野くんのことを心配していろいろ言ってもあまり真剣に受け止めてはもらえない。劇中の宮田が言っていることも共感する部分があると思うので、そこも見ている人はおもしろいんじゃないかと思います」 ――今回、エンドロールに佐野さんと一緒に企画としてもお名前が出てらっしゃいますが、ご自身でご覧になっていかがでした? 「佐野くんとめちゃくちゃうれしいねって話していました。自分の名前が企画のところに載るというのは感慨深いなって」 ――そもそもお二人が行動を起こさなかったらこの作品は誕生してなかったわけですからね。 「自分たちの代表作を作りたいと言って動きはじめた結果、そこに監督、脚本家、プロデューサー、出演者、スタッフの皆さん、本当にたくさんの方が参加してくれたおかげで完成できたと思います。言ってみることも必要だと思いましたし、今は何より携わってもらった方々への感謝の気持ちがすごくあります」
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