かつて所有していた旧車スポーツの中古価格はけっして調べてはいけない! もはや気絶レベルで後悔するほど高騰しているクルマもあった
ちょい古ブームでは片づけられない国産旧車の高騰っぷり
ご承知のとおり近年、一部の絶版国産スポーツの中古車価格は鬼のように高騰している。新車時の価格はせいぜい200万円や300万円ぐらいだったモデルの中古車に1000万円前後の値札が付いていることは、いまや決して珍しくない。また、中高年の感覚でいえば「ほんのちょっと前」ともいえる10年前や20年前なら、100万円も出せばお釣りがくる中古車だったモデルも、いまや500万円級だったりする。 【画像】R34など価格高騰が著しい日産スカイラインGT-Rの第二世代モデル(R32、R33、R34)などの画像を見る そのような現状を見て「あのとき売っていなければいまごろは……」と、ほぞを噛んでいるクルマ好き中高年各位も多いことだろう。 筆者自身は、若いころは国産車ではなく輸入車の中古車にハマっていたため、たとえば「あのときAE86を売っていなければ……」みたいな感じで枕を濡らした経験はない。だが、別ジャンルのモノに関する悔し涙は毎晩のように流しているため、気持ちはよくわかるつもりだ。筆者の場合は、10数年前に1967年製のロレックスGMTマスターIという腕時計を55万円ぐらいで購入したのだが、いまから5年ほど前、それを不注意により自宅のゴミ箱に混入させてしまい、そのまま捨ててしまったのだ。我ながら本当にバカ丸出しだと思うが、残念ながら事実である。 そしてその後、全世界的に「ちょっと古いモノのブーム」が巻き起こったことで、GMTマスターIの相場が高騰中であることは聞いていたのだが、相場はなるべく調べないようにしていた。なぜならば、知れば泣いてしまうと思ったからだ。だが、いまから1年ほど前、つい調べてしまった。相場は軽く100万円を超えていた。私は泣いた。そして今日、この原稿を書くにあたって改めて調べてみた。調べてしまった。すると1967年製ではないが「1966年製」のGMTマスターIに、400万円以上の値が付いていた。私は気絶した。 そして、しばしの気絶から目覚めたいま、絶版国産スポーツの相場高騰についての原稿を書き始めた次第だ。 近年はさまざまな絶版国産スポーツが高騰しているため、すべてを挙げていくとキリがないのだが、アイコニックなところとしては「AE86」が挙げられるだろうか。ご存じのとおり、1983年から1987年まで販売されたトヨタ・カローラレビンおよびスプリンタートレノである。 新車当時の価格は、トレノの3ドアGT-APEXの場合で156.3万円であったとのこと。1983年頃の約160万円といえば、現在の「200万円ちょいぐらい」に相当するだろうか? わからないが、まぁだいたいそんなモンだろう。 しかし現在、AE86型トヨタ・スプリンタートレノの中古車平均価格は約388万円である。新車時価格から考えると約2.5倍、現在の貨幣価値に(テキトーに)換算した「200万円ちょい」という価格と比べても1.8倍ぐらいになってしまっている。 2.5倍や1.8倍というと「……意外と大したことないな」と思うかもしれないが、約388万円というのはあくまでも平均価格であり、実際には500万円を超えている中古車も多い。そしてさらに実際の話をすれば、AE86というのは、現在60歳ぐらいの各位が20代の青年だった時代は「地元の怖い先輩から10万円ぐらいで無理やり押し付けられるタイプのクルマだった」という複数の証言を得ている。 仮に1990年ごろの「地元ネットワーク」におけるAE86の実勢価格が10万円だったとするならば、現在の平均価格はじつに「38.8倍になってしまった」ということになる。地元のセンパイ系実勢価格が本当に10万円だったかどうかは不明だが、まぁ当たらずといえども遠からずではあるだろう。AE86の高騰、恐るべしである。