太平洋戦争激戦地・パラオの野戦病院跡に埋葬地か 青森県調査チームが土盛り新たに発見、証言とも一致
太平洋戦争の戦場となったパラオの本島で17日、青森県調査チームが、戦時中に弘前市で編成され同国で開設された旧陸軍の第123兵站(へいたん)病院(通称和久井病院)跡に入り、人を埋葬したとみられる土盛りを新たに二つ発見した。本島は、地上戦が行われた他の島に比べて遺骨の収容数が少なく、一連の調査が発掘作業を進める手掛かりとなる可能性がある。 調査したのは、長年パラオの戦争遺構を研究している十和田市の横浜愼一さん(62)や現地の協力者ら4人。今年10月に錠剤が入った瓶などが見つかった場所を基点に、より川に近い南側を探索した。 チームは道のないジャングルを計4時間近く歩き、草やコケに覆われた土盛りを発見した。大きさは縦約2メートル、横50~80センチ、高さ30~50センチ。横浜さんによるとこのサイズは、日本兵の生還者やかつての入植者ら複数人が、当時の埋葬状況について証言した数字と一致するという。見つかった土盛りは計五つとなった。 日本戦没者遺骨収集推進協会(東京)によると、本島とコロール島の戦没者概数は4800人で、このうち既に収容したのは2島合わせて493人分と1割程度。埋葬地の特定が困難なことが背景にある。 横浜さんは「土盛りに人が埋葬されている確証を得るには、試掘しなければ。現地の州政府などの協力が必要になってくる」と話した。